史上例を見ない暴君を倒したウェールズの王子

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前回より、話題が満載すぎるウェールズを見守る王、という内容で、ラウェリン大王について、お話をしております。

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ラウェリン大王の特徴について簡単に表現しようと思っても、なかなか簡単になりません。こんな感じで、つかみどころがない、大王です。

13世紀に活躍し、現在もウェールズの街を見守っている男
・史上例を見ない暴君をやっつけて、雪辱を果たした男
・敵が味方に、味方が敵に、昨日の友は今日の敵だった男
・絶体絶命のピンチを、嫁に助けられた男
・悪王で有名なイングランド王と渡り合った男
次男を溺愛しすぎて、世の中と喧嘩した男

 今回は、2つ目の内容についてのお話です。

 

史上例を見ない暴君をやっつけて、雪辱を果たした男

暴君登場 

ああ世は地獄じゃ
鬼が国を治めておる
鬼と言うより悪魔じゃ
次は我が身か
食われてしまう

 

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「12世紀後半のウェールズ。オウァイン大王が権力を振るい、ウェールズは安泰でした。しかし、1170年にオウァイン大王が亡くなると、自体は一変して恐怖に陥ったのです」

 

<ハウェルよ、お前は十分にワシを助けウェールズの繁栄に尽くしてくれた。ワシの後継者はお前にする>

 

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「戦死した長男の代わりにオウァイン大王の片腕として活躍した次男のハウェルが、グウィネズ国の王となりました。しかし、これを喜ばしく思わない人物がいたのです」

 

<オウァイン大王は私を愛したのよ。だから私の息子達が、王になる資格があるわ>

 

「オウァインの非合法の妻、クリスティナは息子達と、王の座を奪うことを企んだのです。一説によると、オウァインが亡くなる前から準備をしていたようなんです」

※クリスティナはオウァインの従姉妹で、ウェールズ法では結婚を認められていなかった

 

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「そして思惑通りに事は運び、クリスティナの息子、五男のダヴィッズと六男のロドリは密かにハウェルを攻めて殺害し王の座を簒奪することに成功したのです。そして、まんまとダヴィッズが王の座に就いたのでした」

 

<<俺にとって厄介なのはウェールズ法だ。息子たちは嫡男でも非嫡男でも、誰でも領土を均等に分け合うことが出来る、とは都合が悪い>>

 

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「オウァイン大王は女好きでした。分かっているだけで18人の息子と、4人の娘がいました。実際に、誰にどれだけの分け前があったかは定かではありませんが、領土の分け前を主張する息子たちはたくさんいたのです」

 

<<せっかく王になったのに、分け前が減るではないか。それでは意味がない。どうすればよいのだ>>

 <排除しなさいよ>

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ダヴィッズは恐ろしい手段に出たのです」
1170年 次男ハウェルを殺害
1173年 四男マエルグゥインを国外追放
1174年 懲りないマエルグゥインを投獄(獄死)
1174年 弟ロドリを投獄
1174年 三男イオルワース戦死(ダヴィッズの指金?)
1174年 八男コナン没(暗殺?)

 

<どうだ、俺に歯向かうとこういう目に合うんだ。オレが、唯一の王だ。誰か文句のあるやつはいるか? 命が惜しければ、分け前を放棄しろ!>

 

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ダヴィッズはウェールズ史上でも類を見ない、身内を殺害しまくった恐怖の人物となったのです。さすがに、ダヴィッズに敢えて戦いを挑む者はいませんでした。兄弟たちの中には相続争いに巻き込まれたくない思いで、アメリカに脱出した十男のマドックもいました」
「こうして、ダヴィッズは、ウェールズ最強国、グウィネズの領土を独り占めしたのでです」

 

ああ世は地獄じゃ
鬼が国を治めておる
鬼と言うより悪魔じゃ

国は乱れ、人々は絶望の中で暮らしました。

 

希望が登場

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「そこに一筋の光が差し込んできました。それはウェールズの人々の唯一の希望でもありました」

「オウァイン大王と正妻の間に産まれた、三男イウォルワースの息子ラウェリンと、非嫡子コナンの息子、グリフィズとマレディッズであった。特にラウェリンは、王となる正当な権利を持つ、唯一の生きている人物でした」

「三人はラウェリンを中心に密かに打倒だダヴィッズの準備を始め、機会をうかがっていました。人々だけでなく、教会もラウェリンを支持し、みなが平和な世界を待ち望んでいました」

 

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<よし、機は熟した。今こそ、我らが兵を挙げ、にっくき叔父ダヴィッズを倒し
我が国に平和をもたらすぞ!>

 

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「チャンスを待つこと6年。1194年のことでした。ラウェリンら3人は協力して、ダヴィッドに戦いを挑んだのでした。両軍は、現在の北ウェールズにあるアバコンウィーで激突したのです」
       

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「勢いに勝るラウェリン軍はダヴィッズ軍を打ち負かし、ダヴィッドを捕らえて投獄しました」

<やった!ついにやったぞ!>

 

<<くそっ、生意気な小僧どもめが。今に見てろ、俺様の恐ろしさを見せてやる>>

 

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ダヴィッズはイングランド王ヘンリー2世の妹を妻としていたのです。その影響力を用いて、教会の最大の権力者カンタベリー大司教を動かし、ラウェリンたちを揺すぶり始めました」

 

<むむむ、やむを得ぬ。ダヴィッズを釈放するしか手はない>

 

<<おおお、ようやく脱獄できたわい。さてどうするかの>>

 

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「しかし、ダヴィッズは年老い、ラウェリン達に対抗する力は残ってはいませんでした。そのままイングランドに落ち延び、ひっそり余生を暮らしたといわれています。こうして、ラウェリンは史上最悪の簒奪者ダヴィッズを追い出し、国を奪い返したのでした」

 

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「よかった、よかった」

次回に続く。

 

※前回記事

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 最後まで読んでくださり有難うございました。

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