レディー・ジェーン・グレイはイングランドで史上初の女王となりましたが、在位わずか9日間で廃位となり、大逆罪で斬首された悲劇の女王です。
※ジェーン・グレイはクィーンとは呼ばず正式な女王と認めていない学者などもいますが、現在のイギリス王室では公式に、ジェーンをテューダー朝第4代君主としています
なぜ、「レディ・ジェーン・グレイの処刑」で描かれているように、処刑されるという悲劇が起こってしまったのでしょうか?
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ジェーン・グレイの血筋(テューダー朝)
ジェーン・グレイの父はサフォーク公ヘンリー・グレイで、母はフランセス・ブランドンです。母方の祖母がヘンリー8世の妹メアリー・テューダーであることから、ジェーンに王位継承権がありました。
つまり当時のイングランド王は、ヘンリー8世の息子エドワード6世で、ジェーングレイの母は従妹にあたりました。
ジェーンは美しく、そして聡明でした。ラテン語、ギリシャ語、ヘブライ語を勉強し、フランス語、イタリア語にも堪能でした。
ノーサンバランド公ジョン・ダドリーの企み
ノーサンバランド公ジョン・ダトリー
「レディ・ジェーン・グレイの処刑」で描かれているように、処刑されるという悲劇が起こってしまったのでしょうか?
そのキーを握る人物の1人にジョン・ダトリーがいました。
政治の実権をにぎる
エドワード6世は若干9歳で王となり国政が十分行えないため、当初はサマセット公エドワード・シーモアが摂政が実権を握り政治を行っていました。
このサマセット公の政敵にジョン・ダトリー(後にノーサンバランド公)がいました。
ジョン・ダトリーはサマセット公を陥れて逮捕して失脚させ、その後処刑して1549年から摂政となり国政を握ることに成功しました。
ジェーン・グレイの悲劇の始まり
国政に興味を持たないエドワード6世を操り、実権を握ったジョン・ダトリーは、今度は自分の血筋に王位を入れようと企みました。
そこで、ジョン・ダドリーが目を付けたのが、 エドワード6世の従姉妹の娘であるジェーン・グレイでした。
そして、ジョン・ダトリーは、父サフォーク公ヘンリー・グレイの許可をもらい、息子ギルフォード・ダドリーとジェーン・グレイを結婚させることに成功しました。
ジェーン・グレイの悲劇(女王となる)
エドワード6世の姉で王位継承順位がトップでメアリーはカトリックで、プロテスタントへの改革を進めていたエドワード6世とは対立していました。
これを利用し、ジョン・ダトリーは、病身で余命いくばくもないエドワード6世に迫り、後継者をジェーンにすることを認めさせました。
ジェーンの父ヘンリー・グレイも、ジョン・ダドリーを支持しました。
そして、1153年7月6日にエドワード6世が死去すると、7月10日にノーサンバランド公はジェーンの即位を宣言しました。
夫の説得もありジェーンはいやいや女王となりました。
ジェーン・グレイの悲劇(9日間の女王)
王位継承権トップのエドワード6世の姉メアリーは身の危険を感じ逃亡し、ジョン・ダトリーはメアリーの身柄を拘束できませんでした。
世論はヘンリー8世の直系で正統な後継を求める声が上がり、メアリー派はメアリーを擁立しました。
ジョン・ダトリーの企みを知ったイングランド議会も、1553年7月19日にメアリーの即位を宣言しました。(メアリー1世となった)
こうして、ジェーンと夫ギルフォードらが捕らえられ、ダドリー一族も逮捕されました。そしてジェーンは退位を宣言しました。
ジェーン・グレイの悲劇(父の反乱)
不運にもジェーンの擁護者たちは無能でした。
ジェーンの父ヘンリー・グレイは、企みが失敗に終わるや否や、素早くジェーンを放棄し、メアリー1世に乞うて許しを得ました。
さらに、カトリックのメアリー1世に反抗し、トーマス・ワイアットが反乱を起こし(ワイアットの乱)ます。この反乱に、ジェーンの父ヘンリー・グレイも参加してしまいます。父の行動は、ジェーンの立場を悪くしました。
反乱は鎮圧され、ワイアットもヘンリー・グレイも捕らえられ斬首されました。
レディ・ジェーン・グレイの処刑
メアリー1世は当初、ジェーンの処刑はしない考えでしたが、父親が反乱に加わった事で警戒されました。
またジェーンを処刑しなければメアリー1世と皇太子フェリペとの結婚は解消するとスペイン側から言われました。
そしてジェーンはロンドン塔に幽閉され、捕らえられて約7ヶ月後の1554年2月12日、夫ギルフォードとともに斬首されました。
ジェーン・グレイの悲劇の処刑の主な原因は、義父となったノーサンバランド公ジョン・ダトリーの私欲の犠牲となり、父ヘンリー・グレイの愚行にも足を引っ張られた、ことです。
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