こんにちは。ウェールズ歴史研究家、たなかあきらです。ウェールズ中世の歴史をもとにした、創作歴史ストーリー「新たたかうカムリ戦士」、今回は第13話をお届けいたします。
※前話
カムバック
父上、ただいま戻りました。
マレド、マレドか。お前どこに行っていたのだ。グウィネズ国の援軍要請は上手く纏めくれた様だが、その後大変な事になったんだ。
やはり父上は同盟軍を作って、モーガン王を攻撃してしまったんですよね。ガクッ。
エイニオンを総大将に、グウィネズ国のイエウヴ殿の協力で、モーガン王に攻め入ったんだが、、、
負けてしまったんですね
最悪だよ。モーガン王にはめられたよ。イングランドのエドガー王と組んでいて、エイニオンは捕らえられイングランドへ連行された。イエウヴ殿は逃亡したらしい。
兄上はどうなるんですか?イングランドは何か言ってるのですか?
イングランドへの服従を条件に、エイニオンの命を助ける、と要求してきたんだ。
父上、行きましょう、イングランドへ。兄上を助けに行きましょう。
マレド、お前の言う様に、モーガン王とは戦わず、グウィネズ国への援軍もやめとけば良かったかも知れない。
父上、今からでも遅くありません。戦わず国を安泰にして行きましょう。僕は決意したんです。僕の弾く、魔法のハープを使って人の心を和ませ、世の中を平和にしようと、思うのです。仲間もできました。
私達も力になりたいのです。
ワシはグレンと言う者じゃ。オウァイン王様の先々王である、ハウェル大王のお妃様の依頼で、ワシが作ったハープなのです。
おお、そのハープを作ったのはあなたでしたか。マレドが弾くハープの力と秘密が知りたかったのだ。
一行はエイニオンが捕らえられている、イングランドのエドガー王の元へ向かった。
他方・・・・
猛将の策略
エイニオン殿、貴殿の国デハイバースに使者を送ったが、まだワシに服従するか否か、返事がない様だ。
・・・
エイニオン殿、ここでワシに服従を誓い領土を差し出すと誓え。どうなんだ。
そっ、それは、、、
さもなくば、デハイバースはイングランドへ反逆を示したと、討伐軍を送るぞ。
うぐぐぐっ。
エイニオン殿、貴殿ご自身のお考えを聞こう。服従か、戦い(死)か。
父オウァインにきかねば、お答えが・・・
答えられぬと申すのか。許せぬ。ならば反逆と同罪。牢にぶち込んでおけ。処刑を待っていろ。者ども、兵を集めてデハイバースに攻め込むぞ。
<ははっ>
エイニオン殿、もはや終わりだな。
ぐうっ。デ、デハイバースはイングランドには簡単には、ま、負けないぞ。
それは、イングランドへの挑戦状か。ゆるせぬ。後悔させてやるぞ
<エドガー王。デハイバースからオウァイン王が参上したようです>
おお、そうか。それは丁度よかった。ひっ捕らえて、連れて参れ。
<はっ>
最強の武器は魔法の音楽
いたい、いたい。
な、何をするの
エイニオン! 大丈夫か。
父上! 申し訳ないです。
お前が、デハイバースのオウァインか。イングランドの反逆で、逮捕する。
お言葉ですが、エドガー王。反逆だなんて、そんな考えは全くありません。イングランドとの良好な関係を望みます。
問答無用。貴様らの考えは、エイニオンの言葉で見え透いている。イングランドの服従を認めないどころか、戦いの意思さえある。こいつらを全員捕らえられて、処刑しろ。そして、デハイバースに攻め込み占領しろ。
<はっ、エドガー閣下>
あのう~、争いは、や、やめましょうよ。
何だ貴様は。
ぼ、ぼくは、オウァインの息子、マレドです。と、とんでもないです。ぼくは、争うのが嫌いなだけです。エドガー王と仲良くしたい、だけなんです。
誰か、モヤシみたいな奴を黙らせろ。切り捨ててもよい。
あっ危ない!
バサッ
ヒエ〜
ガガ、ガチッ。
カラン、カラン、カラン。
イングランド兵がマレドに振り下ろした剣が、マレドの頭上で何かに激しく当たり、はじき返されて床に転がった。
何だそれは。
あっ、僕のハープ。僕のハープが?
危ないところじゃった。でも、よかった。こんな事もあろうかと、ハープを頑丈にして、盾にも使えるようにしておいたのじゃ。
おのれ、たてをつくとは、反逆行為。許せぬ、切り捨てよ。
マレドさま、ハープを弾いて、ハープを
うん、分かった。
ポロリン、ポロリン・・・
水は清く、緑深く、いのちにあふれるイングランドとウェールズ
小鳥は歌い、動物は踊り、人は楽器を奏でる
生き物はみな、手を取り合い、心を通じ合い
暖かな食事を感謝と共にいただく
今日のことを話し、明日の希望を語り合い
暖かい場所でぐっすりと夢の中で微笑みあう
ゆたかな国イングランドとウェールズ、よろこびの国イングランドとウェールズ
僕らはみんな、ひとりはみんな
すべての生き物たちが、助けあって喜びあって、感謝しあって生きていこう
何だこの音楽は、、、う、うう〜美しい。素晴らしい。心が洗われ、安らぎがしみわたる。私は何をやっていたのだ。まさかこの若者を斬ろうとしていたのか。戦争を起こし、この者たちの領土を奪おうとしていたのか。
争いではこの安らぎは得られない。安らぎは和平から生まれるはずだ。私は何をやっていたのだろう。
オウァイン殿、申し訳ない。ワシが間違っていた。両国の平和と繁栄のため、争いはやめ、手を結ぼう。皆さんも、エイニオン殿も解放する。さっ、気楽して下され。
エドガー王、皆を救ってくださり誠にありがとうございます。デハイバースの統治者オウァインは、両国の平和のため、イングランド王エドガー閣下に忠誠を誓います。
オウァイン殿、もったいないお言葉。デハイバースとイングランドは同盟を結び、お互い協力し合うことを誓おう。
ありがたき幸せ。私も誓います。
すごい、すごいわ、マレド様。わたし、すごく感動したわ。
ワシも感動じゃ。ワシが作った魔法のハープで、平和が得られるなんて、感動じゃ。マレド様のおかげじゃ。
マレドの奏でるハープのおかげで、デハイバースの窮地は、危機一髪、救われたのだった。しかし、イングランドとデハイバースの間で結ばれた同盟は問題であった。先に、デハイバースと同盟を結んでいたグウィネズは、黙っているわけがなかったのである。
次回に続く
次回に続く
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最後まで読んでくださり有難うございました。
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