こんばんは。ウェールズ歴史研究家、たなかあきらです。
ウェールズの創作歴史ストーリー、新たたかうカムリ戦士は毎週月曜日に公開しております。
先週の第8話では、デハイバース国のエイニオンに敗れ投獄されている、モーガンウィグ国のモーガン王。息子のジュニアがイングランド王の援助を得られた、という内容でした。
さあ、ジュニアがモーガン王を救うためにイングランドと協力して立ち上がる・・エイニオンの弟最弱戦士のマレドは・・・というわけで第9話をお楽しみください。
※前回の第8話
裏の裏の罠
「行くぞ! 我々の誇りにかけて、父モーガン王を救出し、奪われたゴーワーの領土をエイニオンから取り戻すぞ!」
<おおっ!>
モーガン・ジュニアはモーガンウィグ軍を総動員し、モーガン王が捕らわれているゴーワー城に向かった。一方、エイニオンがいるデハイバースでは・・・
ウェールズ西部、デハイバース国の居城。
「なに、ゴーワー城がモーガン・ジュニアに攻められてる? 奴らの狙いはモーガン王だ、すぐに軍を集めゴーワー城に急行するぞ! 」
「エイニオン、頼んだぞ。せっかく奪ったゴーワーと人質を守ってくれよ」
「オヤジ、おれに任せてくれよ。モーガン・ジュニアをぶっ潰し、あわよくば奴らの領土をもっと奪ってやりますよ」
「マレド、お前も戦場に行くか?」
「ぶるん、ぶるん。と、っとんでもないですっ! 100%行かないですぅっ! というか、エイニオン兄上・・・戦いはやめておきましょうよ。もともとモーガン王の領土だったことだし・・・」
「お前は何とも意気地のない奴だな!攻められて無抵抗な戦士がどこにいるんだ! デハイバース国の王室の血を引く者として、呆れてものが言えないよ」
「なんかとっても嫌な予感がするんですよ・・・・」
「マレドなんかに付き合っておれんよ、オヤジ、行ってくるぜ!」
エイニオンは大軍を率いてデハイバース国を出発し、隣国モーガンウィグに侵入しゴーワー城へと向かった。
<エイニオン様、ゴーワー城はすでに敵軍に包囲されています>
「うむむ、ちょっと遅かったか・・しかし、モーガン軍は少数だ。取るに足りない。モーガン軍をさらに包囲しろ、身動きを取れなくしてやる」
<エイニオン様、我が軍はモーガン軍を取り巻きましたが、モーガン軍は全く抵抗しようとしません。なんだか城門付近に固まっているようです>
「何をやつらは企んでいるんだ・・・時間稼ぎをしているのか? ええい、じれったい。モーガン軍の包囲をぶち抜いて、城に突入するぞ」
その頃、ゴーワー城内では・・・
<はぁ、はぁ、はぁ>
「だれじゃ」
「僕ですよ、僕」
「おおお、ジュニアか。またワシを助けに来てくれたか」
「ええ父上。城の地下の抜け道を使って、もぐりこんできました」
「ずっと手足は、鎖と重りにつながれたまま、鉄格子のなかに放り込まれ、身動きがとれんのじゃ」
「今度はもっと強力な道具を持ってきたので切断しましょう」
おーい、誰かいるのか?
「し~っ、誰か来るぞ!」
「大丈夫ですよ、父上。今度は兵を連れてきましたから。我が軍はゴーワー城を包囲して時間稼ぎをしています。その間に脱出しましょう」
おーい、誰かっ、誰だお前たちは!
「お前たち、やってしまえ!」
キーン、キーン、ウグッ、バタバタバタ
カツ、カツ、カツ、ジャラジャラ、ドサッ
「父上、城内の敵もやっつけました! あっ、鎖も取れましたよ! さっ、急いで隠れ道から脱出しましょう!」
「早く、早く、エイニオン軍が時間稼ぎに気がついたようで、城に突入を図っているようです」
「うむ、急ごう。そして、次の手じゃ」
「よし!突入! 敵をけ散らし、城門をぶち壊せ!」
おおおおおおお~
「人質のモーガン王はどこだ!」
<塔の牢屋にいるはずです>
「モーガン王を奪われないように確保しろ!」
「おい、我が兵が倒れているぞ、どういうことだ・・・」
<エイニオン様、モーガン王がいません。鎖が切られ、脱獄したようです>
「なんだと、我々より先に、何者かが侵入したな・・・くそっ、やられた・・・まだ近くにいるはずだ、城外に出て追いかけるぞ!」
<エイニオン様、あれを、あれを・・・>
「どうしたんだ・・・おやっ、イングランド軍旗! なんでこんなところにイングランド軍が・・・」
<ひょえ~~っ、大大軍だぁぁぁぁぁ。大軍に包囲されてしまった>
「ああああああっ、あれはモーガン王と、モーガン・ジュニア・・・。何で、やつらがイングランド軍を率いているんだ・・・」
「エイニオン殿、引け、引き上げるんじゃ。無駄な抵抗はやめるんじゃよ。お前はイングランド軍とモーガン軍に包囲されているんじゃ。大人しく引き上げれば、今回は見逃してやる!」
「くそっ、やられた。モーガン王の奴らにオレが逆にハメられていたのか・・・今は奴らに従って、引き上げるしかない・・・悔しい・・・」
次回に続く
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最後まで読んでくださり有難うございました。
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