話題が満載すぎるウェールズを見守る王、という内容で、ラウェリン大王について、シリーズでお話をしております。
ラウェリン大王の特徴について簡単に表現しようと思っても、なかなか簡単になりません。こんな感じで、つかみどころがない、大王です。
・13世紀に活躍し、現在もウェールズの街を見守っている男
・史上例を見ない暴君をやっつけて、雪辱を果たした男
・敵が味方に、味方が敵に、昨日の友は今日の敵だったウェールズの王
・絶体絶命のピンチを、嫁に助けられた男
・悪王で有名なイングランド王と渡り合った男
・次男を溺愛しすぎて、世の中と喧嘩した男
今回は、4つ目の内容についてのお話です。
絶体絶命のピンチを嫁に助けられた王
大チャンス
イングランド王、ジョン王
13世紀初めのウェールズ。ラウェリンはウェールズでリーダー的な存在となっていました。当時のウェールズにはイングランドという強敵がいました。11世紀中頃以降、ウェールズはイングランドから再三の侵略攻撃を受け対抗するものの、徐々に領土を奪われていました。
<何とかイングランドの脅威を和らげる事はできないだろうか。相手は悪名高きジョン王だ。ジョン王との和平の交渉は、うまく行くだろうか>
ラウェリンは意を決してイングランドのジョン王と交渉に挑みました。
<ラウェリン君、末永く頼みますぞ>
<ジョン王、ありがとうございます>
1201年、ラウェリンはジョン王に忠誠を誓うことで同盟を結ぶことに成功しました。ラウェリンはウェールズ内ではリーダーとはいえ、まだまだ基盤は弱いものでしたが、このジョン王との同盟によりラウェリンに従うものが増え、ラウェリンのウェールズでの地位は確固たるものになりました。
<ウェールズも纏まってきたし、イングランドとの関係も良好になった。よし、最後の詰めをしよう>
更にウェールズを最後の詰めのつもりが、逆にラウェリンが詰めをされそうになるキカッケとなるのでした。
絶体絶命のピンチ到来
ウェールズ王、ラウェリン
ウェールズ内に侵略しラウェリンと争ったイングランドの伯爵、ウィリアム・デ・ブローズがいました。ウィリアムはウェールズへの攻撃を企んでおり、ウェールズにとっては脅威な存在でした。
<ウィリアム殿、取った取られたの無益な争いはやめ、お互いの利益のため手を組んではどうだろうか>
<うむ、ラウェリン殿の言うことは一理あるな>
1210年、ラウェリンはウィリアムと同盟することに成功し、ラウェリンには殆ど敵の存在がいない状態を作ることが出来ました。
いや、作ったかに見えました。この同盟が大きな落とし穴へと繋がったのでした。
<なにっ!ラウェリンがウィリアムと同盟を結んだ、だと?怪しからん!>
激怒したのはジョン王でした。イングランド内では、このところジョン王とウィリアムは関係が悪化し仲が悪くなっていました。
<義理の息子とはいえ、ラウェリンとの同盟は破棄だ! 皆に呼びかけろ! ラウェリンを吊るしてやるぞ!>
ジョン王は、ウェールズ内でラウェリンとライバルであった、グウェンウィンウィンを助けるとともに、ウェールズ内の各統治者にラウェリンから寝返ってジョン王側につくように呼びかけました。その呼びかけに答えるかのように、ラウェリンを除くほぼ
全てのウェールズがジョン王の味方になってしまったのです。
<やばい、これはヤバいぞ、本当に・・・>
妻が立ち上がる
ジョアン
ついに1212年、ジョン王は他のウェールズ軍も率いて、ラウェリンを総攻撃しました。さすがのラウェリンも、これにはなす術がなく、ジョン王に降伏しました。
<ラウェリン、ワシを怒らせるとどうなるか、思い知ったか! ワシは決して許しはせぬぞ。キサマが手に入れた領土も、キサマのもともとの領土もすべて没収だ!>
ウェールズの他の統治者たちからも裏切られ、完全に四面楚歌になっているラウェリンはどうすることもできませんでした。
<嗚呼、もうこれでオレもおしまいだ・・・>
・・・・
<ここは私の出番ね>
<お前、大丈夫か、やれるのか>
<私を信じて、任せて頂戴!>
この時、ラウェリンの妻が立ち上がりました。ラウェリンの妻ジョアンは、勇敢にジョン王の所に乗り込んで行ったのです。
<ちょっと、ひど過ぎるわよ。私の夫の領土を返してちょうだいよ>
<そんなことを言っても、ジョアン、ラウェリンはワシを裏切ったも同然だぞ>
<それは貴方の思い込みよ。いいこと、夫の領土を返さないと、親子の縁を切るわよ>
<うぐぐぐ。分かったよジョアン。もともとラウェリンが持っていた領土は認めてやるよ>
こうして、ラウェリンはジョン王の娘である妻ジョアンのお陰で、絶体絶命のピンチから逃れることができ、親から引き継いだ北ウェールズの領土を守ることが出来ました。
そんな逸話があったんですね。ラウェリンはこの先長い間、妻ジョアンに頭が上がらなかったでしょうね。
※本当は妻ジョアンと、スコットランド王ウィリアム1世が、もしウェールズに攻め込んだら殺すぞ、とジョン王を脅したようです。
次回の内容は、「悪王で有名なイングランド王と渡り合った男」で、今回の続きになります。
※この記事は史実に基づいておりますが、会話などは筆者の想像が大いに入っております
※ジョン王に関する記事
※これまでのラウェリンのシリーズ記事
・13世紀に活躍し、現在もウェールズの街を見守っている男
・史上例を見ない暴君をやっつけて、雪辱を果たした男
・敵が味方に、味方が敵に、昨日の友は今日の敵だったウェールズの王
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最後まで読んでくださり有難うございました。
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