こんばんは。ウェールズ歴史研究家を名乗る、たなかあきらです。
アーサー王物語に登場する、バン王。あまり目立たない存在かもしれませんが、アーサー王にとって重要な働きをして、大きな貸しを作っていました。
そんな目立っていない重要人物
「アーサー王物語では目立たない存在ながら、重要な人物がいます。その中の一人、バン王」
「バン王は円卓の騎士ですか? 」
※円卓の騎士一覧:「円卓の騎士」の一覧と「円卓の騎士」になる条件
「いや、名前の通り、円卓の騎士ではなく、王だよ。バン王が居なければ、アーサー王物語は成立なかったかも知れない、と言っても過言じゃないよ」
「そんな重要人物なのに、目立たない理由を教えてくださいよ」
「バン王は、フランスのベンウィック(フランスのブルガンディー、ブールジュの説があります)の王で、兄弟はガニスの王であるボールス王だ」
「バン王とボールス王は、フランク王のクラウダス王の攻撃に苦しんでいたんだ。そして、とうとうトレブ(Trebes)にあるバン王の城をクラウダスに破壊され、妻子と脱出する時に、燃えさかる城を見て、心痛で亡くなったんだ」
以上
「えっ、もう終わりですか? 確かに目立たないですけど、、、アーサー王も何も登場してないじゃないですか?バン王の何が、重要なんです? 」
バン王の重要な点
「まず、バン王の妻子だよ。妻はエレインで、息子はランスロット」
「ランスロットって、最強の円卓の騎士の、ランスロットですか?」
「そうだよ。火に包まれたトレブ城から脱出した幼児は、後のランスロット卿だよ。逃げ延びたランスロットは、湖の乙女に育てられるんだ」
「なるほど。ランスロット卿の父という事は、騎士として強かったのかな、と思ってしまいますけど」
「確かにそうかも知れないな。バン王が兄弟のボールス王と、クラウダス王との戦いに苦戦していた頃、ブリタニアではアーサー王も頭を痛めていたんだ」
「アーサー王はブリタニアの王になったものの、ブリタニアにはアーサーへ対抗する諸侯やサクソン族がいて、アーサー王は手を焼いていたんだ。バン王とボールス王がいなかったらアーサー王は英雄で無かったかも知れないな」
「なぜなら、そんな時にマーリンはアーサー王にこう助言したんだ」
「バン王とボールス王を助けクラウダス王との戦いに協力することを条件に、アーサー王のブリタニア統一の援護を頼めないか」
「そして、バン王とボールス王の協力を得たアーサー王は、反対勢力の連合軍をベドグレインの戦いで撃破し、ブリタニア統一へ勢力を強めたんだ」
「それは凄い功績ですね。バン王とボールス王はアーサー王に貸しを作ってますよね。じゃあ、その見返りに、バン王とボールス王はアーサー王に助けて貰えたのですか?」
「残念ながら、アーサー王は直ぐ借りを返せなかったんだ。バン王とボールス王は戦いが終わり国に帰ったが、クラウダス王に負け殺されてしまったんだ」
「それは残念、、、」
「しかし、アーサー王は後に、円卓の騎士となった彼らの息子たちとともに、クラウダス王を倒し、雪辱を晴らしたんだ」
「バン王自身は、アーサー王に協力した以外の活躍は殆どないけど、バン王を起点として、色んな人が繋がりストーリーが生まれ、アーサー王物語を盛り立てていると思いますね」
最後まで読んでくださり有難うございました。
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