金だよ金!金で解決するウェールズ王

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こんばんは。ウェールズ歴史研究家、たなかあきらです。
30人のウェールズ王を紹介するコーナー。
今回は、金で解決を試みた王、マレディズのお話です。
金の力で物を言わせたのか? それとも、金で・・・

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カネゴンになる前の武勇伝

 

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一国の王となれば、巨額のお金を動かすことが出来る。

国のため、欲のため、野望のため。

 

10世紀、戦乱にまみれたウェールズ
その中に、「金」で解決せようとした王がいた。
マレディズ・アブ・オウァイン

舌を噛みそうな名前なので、カネゴンとでも呼んでおこう。
カネゴンの始めの功績は輝かしいものであった。

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最初のカネゴンは、カネゴンでは無く、ウォーゴンであった。
つまり、戦いに明け暮れていたのである。
ウォーゴンは兄から、ウェールズ西部のデハイバースと言う国を引き継いだんだ。

「この国だけでは狭い。もっと国を広げてやろう」

と周りの国を攻め始めたんだ。恐らく欲深いウォーゴンだったんだ。

 
 

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隣国グウィネズの王を攻め、国を奪い去り、
イングランドを攻め略奪し、国境を東へ追いやったんだ。
ウォーゴンは勢力を強め、ほぼウェールズ全域を掌握するまでになったんだよ。

 
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ウェールズで、南部の橙色を除いた水色部分を支配下におさめた。
ウェールズの長い歴史を見ても、ウェールズの全域をほぼ掌握できた人物は殆どいない。
ウェールズを掌握した数名の人物は皆、偉大な人物として称号を与えられていた。
しかし、ウォーゴンはほぼ無名である。
 

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本来なら、ウォーゴンは偉大な人物であるはずだった。
しかし、ウォーゴンだけが偉大と呼ばれるどころか、歴史の中に埋もれてしまっているのである。

 
それは、改名に原因があったかも知れない。
絶大な権力を欲しいままにしたウォーゴン。
ウォーゴンはカネゴンへと変貌していったのである。
 

カネゴン誕生から盛衰

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「戦い戦い戦い」から「金金金」、である。

 ウォーゴンの身に何が起こったのか?
 
頂点に登り驕りが出たのだろうか
戦いが面倒になったのだろうか
命が惜しくなったのだろうか
 
ウォーゴンはカネゴンへと変貌した。
 
ヴァイキングに攻められた時、カネゴンは戦わなかった。
多くの人がヴァイキングに連れ去られた。
カネゴンは身代金を払い、人質を解放してもらった。
 
「こいつは金払いが良いぞ」
「脅せば金が踏んだくれるぞ」
 
そう悪巧みを考える奴も出てきた。
再びヴァイキングが大規模な攻撃を仕掛けても、カネゴンは執拗な抵抗は見せなかった。ヴァイキングに千人のウェールズ人が人質として連れ去られてしまった。
その時もカネゴンは多額の金を支払って、人質を返してもらった。
 
「カネを出せよ、金を」
「払えないだと! その分は領土ではらえ!」 
 
今度は、カネゴンは甥に揺すられ始めた。
エドウィンカネゴンの領土を攻め、人質を取った。
だんだんカネゴンにもお金が不足してきたのだろう。
人質は返して貰ったが、身代金だけでなく、領土の一部も甥に取られてしまった。
そこには、かつてのウォーゴンの姿は無かった。ウェールズ全域に勢力を伸ばした頃の面影は残っていなかった。
 
「よっしゃ、カネゴンを倒す絶好のチャンスだぜ」
 
さらに、敵は追い討ちをかけて来た。甥に返して貰った人質の中に、かつて奪い去った隣国グウィネズ王の息子達が含まれていた。グウィネズ国の息子達は脱出して国に戻り、カネゴンに戦いを挑んできた。
 
「ああ、カネもないし、もうワシもおしまいだ」
 
カネゴンには、もはやお金が無かった。戦う力も残っていなかった。
カネゴンはあっさり破れ、グウィネズ国は奪回された。
 
ウェールズの歴史の中で、最も勢力を持った人物の1人に上げられるカネゴンであるが、あっと言う間に失脚の道をたどり、歴史上でも殆ど忘れ去られた。
むしろ、腰抜けなど悪評が残っているくらいである。
 

カネゴンの心中を察する

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ここまで書いてきて思う。
カネゴンは自分の地位にあぐらをかいて、
金の力に物を言わせていたのでは無かったのだろう。
 
むやみに戦い、人の命を奪ったり損害を出すのを避けたかったのでは無いか。
平和的に解決したかったのでは無いか。
平和の為、話し合いでは解決出来ない相手にお金で解決する方法を取ったのではないか。
 
金だよ金!金で解決するウェールズ王と書いたが、
権力の為のお金でなく、平和の為のお金であったのではないか、そう思った。
そうであって欲しいと思った。
 
ウェールズの歴史上では戦わず意気地無しとして不評な王かも知れないが、平和の心を持ったカネゴンであったならば、僕にとって好評な王です。 

 

こちらは、お金を食べるのが大好きな、カネゴンでした。
 

 

※30人のウェールズ王シリーズ

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最後まで読んでくださり有難うございました。

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