(17.8.11更新)
こんにちは。ウェールズ歴史研究家、たなかあきらです。
今回は逆玉の輿に乗って、イギリス王室とイギリスの歴史を大きく変えてしまった、一人のウェールズ人について取り上げます。
・逆玉の輿に乗ったのはどこの誰? どうやって乗ったの?
・逆玉の輿に乗ったエピソード
・どのようにイギリスの歴史を変えたのか?
の3点について中心にお話しいたします。
逆玉の腰に乗ったウェールズ人
どんな人物が、どうやって逆玉の輿に乗り歴史まで変えてしまったのか?とても興味があるなあ。僕にも参考になるのかな。教えてくれよ~
時代は15世紀です。イングランドに一人のウェールズ人がいました。その人物の名はオーウェン・テューダーと呼ばれていました。オーウェンはイングランド王室で使用人として働いていました。
使用人か。何の変哲もない、ごく普通そうな男だな。
イングランドでは使用人に甘んじていましたが、実は普通の家系ではありませんでした。オーウェンの家系は、ウェールズ王室の血筋が流れている誉れ高い家系で、プリンス・オブ・ウェールズの子孫でした。
(オーウェンから見たウェールズ王室の家系図。公式上はルウェリンの息子ダヴィッズが初代プリンスオブウェールズ)
なんだ! いいところのお坊ちゃまか! 全然、逆玉の輿じゃないじゃん。
いえいえ、家系がそうなだけです。オーウェンが生きた15世紀は、ウェールズでオウァイン・グリンドゥールと呼ばれる貴族が中心となり、イングランドに対して大反乱を起こした時代でした。反乱が終焉した後は、ウェールズ人というだけで逮捕されたり危険人物視されていました。
もちろん、イングランドで暮らしていたオーウェンもウェールズ人と罵られ、下っ端の使用人として肩身の狭い生活をしていました。
なんだ、そうだったのか。イングランドに住むウェールズ人にとっても大変な境遇だったんだ。それで、逆玉の輿・・・オーウェンの相手は誰だったんだろうか?
当時のオーウェンは、イングランド王ヘンリー5世の王妃キャサリンの衣装係として、何とか職を得ていました。
しかし、恐らく王妃のさまざまな要求にこき使われ、ウェールズ人ということもあり罵られ、他のイングランド人の使用人よりも辛い生活を送っていたことでしょう。
そんな時代背景の中じゃ、いじめやパワハラひどかったんだろうなあ
しかし、ある時オーウェンの人生を大きく変える出来事が起きるのです。
ほうほう、そこが知りたいんだよ。どうやって、逆玉に乗れたのか。それで、何が起きたんだ?
おっ、なかなかいい男じゃないか。これは誰だ?
逆玉の輿が起きた”きっかけ”
それは、王室で開かれたある舞踏会のことでした。イングランド王ヘンリー5世は早世し、キャサリン王妃は未亡人となっていました。若いキャサリン未亡人を男達は放っておくわけはありませんでした。キャサリンも名ある伯爵と恋に落ちる日々を送っていたようでした。
そうだよな~元王妃のキャサリン未亡人をものにできたら、それこそ超のつく逆玉の輿だよな
オーウェンはその舞踏会でも使用人としてこき使われていました。舞踏会に参加している王族や伯爵、婦人方々の食事や飲み物を運んだり、用事を言いつけられたり、休み間もなく働いていたことでしょう。
そんな時、ささいな事件が起こりました。伯爵たちと踊っていたキャサリン王妃がつまづき転んでしまったのです。
あっ、危ない!
キャサリン王妃は、運悪くオーウェンの膝の上に倒れこんでしまいました。
身分の違いにキャサリンには近づくことさえも許されていないオーウェン、、、
もちろんキャサリンもオーウェンのことなんて知りません
「この無礼者!使用人の身分で私に触れるとは!!!さっさと立ち去りなさい!」
「申し訳ございません・・・・」
こんなやり取りがあったのかもしれません。しかし、
「(はっ、いい男)あら、ごめんなさいね。あなたは大丈夫でしたか?」
実は、このいい男が、オーウェンだったのです。
なんだ、キャサリン王妃のひとめぼれか・・・美男はいいよな・・・
キャサリン王妃はオーウェンに心を奪われ、二人は密会するようになります。この舞踏会のエピソードの他にも、プールで泳いでいるオーウェンの姿を見たキャサリン王妃が一目惚れした、という説もあります。
逆玉成功!しかし困難が続く日々・・・
未亡人となった王妃キャサリンの再婚相手には、国王に匹敵するほどの高い身分の人物が必要でした。キャサリンと関係があったといわれる名のある伯爵でさえ、再婚できる相手としては身分が不足していました。
ましてや、イングランドに反乱を起こしたウェールズ王室の血を引くオーウェンとの再婚は、もってのほかでした。
それで、どうしたんだ、その二人は?
間違っても結婚はできない二人は、とても悩みました。彼らの選んだ道とは、駆け落ちをして法を破り、こっそり結婚することでした。そして、二人の息子エドムンドとジャスパーが生まれました。
お姫様が下人と駆け落ちか! ドラマでも見ているようだな。そんな訳の分からん奴と逃げては、王室は大騒ぎだろうな。やっきになって探すだろう・・
駆け落ちをして隠れた生活を続け心労が重なったのでしょうか、キャサリンは6年後に36歳の若さで世を去ってしまいます。そして、イングランド役人に見つかってしまったオーウェンは捕らえられ、法を破った罪で投獄されてしまいました。
大変な逆玉の輿の結末だな。こんな最後じゃ、超逆玉の輿に乗るのも考えものだな
その後に復活して逆玉の輿になる
キャサリン王妃には、ヘンリー5世との間に設けた息子がいました。ヘンリー5世の跡を継いだヘンリー6世です。
そりゃ、そうだ。キャサリンの元夫、ヘンリー5世の子供を忘れていた。
ヘンリー6世は、母を同じくする異父兄がいることを知ります。そのころのヘンリー6世は、まだまだ遊びたい盛りの少年でした。ヘンリー6世は、同じ年頃のオーウェンの息子エドムンドとジャスパーと会うことになり、3人はとても仲良くなります。
ほお、それは良かったよかった。それで、オーウェンは・・投獄されたままか。
オーウェンはずっと投獄されていましたあ、3人が仲良くなったおかげで幸運にもオーウェンは解放されました。ヘンリー6世のもとで、薔薇戦争に駆り出され王宮庭園の管理人として年金をもらいながら自適の生活をすることが出来たのです。
オーウェンもよかったなあ。子供たちによって、本当に逆玉の輿に乗れたんだ。
逆玉の男がイギリスの歴史に残したモノ
それで、この逆玉の輿が歴史に残したモノって、なんだい?
オーウェンとキャサリンの血筋は続いていくのです。オーウェンの息子エドムンドは、後にヘンリー・テューダーという名の男の子をもうけます。ヘンリーは後に天下分け目の戦いであるボーズワース野の戦いでリチャード3世を破り、ヘンリー7世として戴冠しイングランド王となるのです。
このウェールズ人であるテューダーの名前にちなんで、ヘンリー7世からエリザベス1世まで続いたイングランド王の家系を、テューダー朝と呼んでいます。
おお、これはすごい!
最後に
このウェールズ人であるオーウェン・テューダーが、イングランド王妃であったキャサリンとの逆玉の輿に結婚によって、ウェールズ王室の血筋とイングランド王の血筋が結合しました。ウェールズ人であるオーウェン・テューダーとキャサリンとの逆玉結婚が無かったら?時代は大きく変わっていたかもしれませんね。
なかなか複雑だったけど、壮大な逆玉の輿だったな。結局、オーウェンは子供に救われたってことか。確かにオーウェンはいい男で、それが逆玉の出会いになったかもしれない。
だけど、いいのは顔だけでなく、人柄もいい男だったのではないかな。そこまで王妃に気に入られ、王や子供たちにも慕われていたみたいだからな。
逆玉の輿に乗れるかは分からないけど、見ての通り俺の顔はまずく直らないけど、性格でいい男になれるよう心を磨くとするか。
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最後まで読んでくださり有難うございました。
また次回をお楽しみに!
コメント
お姫様と使用人が駆け落ち。
オーウェンは、カッコいいですね。
id:nezuzyouziさん、いつもコメントありがとうございます。
オーウェンかっこいいですね~
ドラマにしたい内容です(笑)