(18.7.15更新)
イギリス伝説の英雄アーサー王。アーサー王は物語や伝説だけにとどまらず、イギリスの歴史にも大きな影響を及ぼしています。
アーサー王は偉大ですものね。僕のヒーローも、子供の時からアーサー王です。
アーサー王の伝説を利用して、イングランド王になった人物がいたんだ。
誰が、いつ、何のために、どのように利用したのか? お話しいたします。
さすがアーサー王ですね。伝説がまた、新たな伝説を作った、というわけですね。ワクワクします。
- イングランドの薔薇戦争の頃でした
- ランカスター家の貴公子
- 薔薇戦争に勝ち、ランカスター家復活を狙った
- アーサー王伝説が蘇った!
- 更にアーサー王伝説を利用して薔薇戦争を終わらせた
- 最後に:さらにアーサー王伝説を利用したヘンリー7世
イングランドの薔薇戦争の頃でした
時代は15世紀のイングランドとウェールズ。イングランド王室では薔薇戦争が起こり、白バラのヨーク家と赤バラのランカスター家に分かれて争っていたんだ。
ウェールズはイングランドの支配下にあり、大多数のウェールズはヨーク側についていたんだけれど、ペンブロークに拠点を持つテューダーと呼ばれる家系の人々はランカスター側についていたんだ。
それじゃ、ウェールズもヨーク家とランカスター家に分かれて戦ったんですね。
そういうわけだ
参考:薔薇戦争の最後の戦いが、イギリスの歴史を大きく変えたワケ
ランカスター家の貴公子
母系にランカスター家の血を引き、父系はウェールズ王家の血を引くヘンリー・テューダーという人物がペンブローク城にいたんだ。しかし薔薇戦争によってヨーク派のウェールズ軍に取り囲まれてしまい、14歳のヘンリー少年はフランスへ脱出し26歳になるまでフランスで暮らしたんだ。
※Pembrokeはイギリス西部のウェールズの端っこにあります。
※ヘンリー・テューダーの曾祖母はイングランド王ヘンリー5世の王妃キャサリンで、キャサリン未亡人と結婚したのが、ウェールズ王室の血を引くオーウェン・テューダー
オーウェンの参考記事:「逆玉の輿」の歴史 中世イギリスの男が残したモノとは
薔薇戦争に勝ち、ランカスター家復活を狙った
では薔薇戦争ではヨーク家が勝利していたんですね。確かリチャード三世がイングランド王でしたね。
そうそう、薔薇戦争の時代の末期で自分に対抗する反対派や王子を殺害したとの噂で悪名高いリチャード三世の時代だよ。リチャード三世に不満を持つ人々がランカスター家を復活させようと、ヘンリー青年へ期待が高まっていたんだ。
悪王のリチャード三世を倒して、ヘンリー青年がイングランド王になろう!ということですね。それで、ヘンリー・テューダーはどのようにアーサー王伝説を利用したのですか?
アーサー王伝説が蘇った!
アーサー王伝説によると、「宿敵モルドレッドとの戦いで深手を負い、アヴァロンの地で姿を消したアーサー王は、いつの日か復活してウェールズを救う」と信じられていたんだ。
ヘンリーは、「アーサー王がウェールズを救うために復活し、現世に再び現れた姿がヘンリー・テューダーである」とウェールズの人々に信じさせ、薔薇戦争でヨーク家についたウェールズ軍をランカスター家に寝返らせようとしたんだ。
当時のウェールズは伝染病がはやり、人々には不安と不満が募っており、ヘンリーは当時の吟遊詩人の力を利用して、アーサー王伝説の内容を広めたんだ。
過去のブリトン人の栄光をたたえ、アーサー王の偉業と栄光を讃え、
アヴァロンの森に姿を消したアーサー王がいつの日か再び蘇り、イングランドに支配され不安な世の中からウェールズを解放してくれるだろう
フランス軍を集めウェールズに再び戻って来たヘンリーは、ウェールズの人々にこう約束したんだ。
「自分こそがアーサー王が復活した姿で、リチャード三世との戦いに勝利した暁には、ウェールズを解放する」
これにより、ヨーク家についていたウェールズ軍もヘンリー側に寝返り、ヘンリー軍は大勢力となったんだ。
更にアーサー王伝説を利用して薔薇戦争を終わらせた
ヘンリー軍はリチャード三世と戦うため、天下分け目の戦いの地、ボスワース野に向かうんだ。その途中30㎞ほど遠回りをして、アーサー王参りをしたと言われているんだ。
アーサー王参りですか? 勝利を願うために、どこかアーサー王ゆかりの地に行ったんですか?
そうなんだ。アーサー王が宿敵モルドレッドとの最後の戦いの地、カムランに向かう途中で靴に小石が入り遠くに放り投げたそうだ。その石は約11kmとんでヘレフォードに落下したと言われ、その石の重さは24トンもあるという伝説があるんだ。
右端のいびつな石がアーサー王の石(ウィキペディアより)
なんと! アーサー王はそんなに巨人だったんですか?(笑)
ジャーン!
アーサー王の石は、戦いなどに勝てるというご利益があると伝えられており、そのご利益にあやかろうとヘンリーは立ち寄ったんだ。その効果があったのか、ヘンリーはリチャード三世を打ち破り薔薇戦争を終結させ、ヘンリー7世としてイングランド王になったんだよ。
さすがアーサー王伝説の力は偉大ですね!
参考:ボスワース野の戦いの再現イベントの動画
Wars of the Roses:- The Battle of Bosworth – YouTube
最後に:さらにアーサー王伝説を利用したヘンリー7世
イングランド王になったヘンリー7世は、プリンス・オブ・ウェールズ、アイルランド君主も兼ねました。アーサー王伝説に登場するウェールズを意味するレッドドラゴンの旗を掲げ、更に第一子が産まれるとアーサーと名づけ、自分がウェールズの支配者であることを強調しました。
アーサー王伝説がなければ、ヘンリー7世は薔薇戦争に勝っていなかったかもしれませんね。現代でも広く親しまれているアーサー王伝説は、15世紀でも同じように親しまれていたとは興味深いですね。
参考記事:
※アーサー王に関する記事
※ばら戦争に関する記事
※リチャード三世に関する記事
※ウェールズのお城特集(ペンブローク城もあります)
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最後まで読んでくださり有難うございました。
コメント
アーサー王伝説はのちの歴史にも影響を与えていたんですね。
ヘンリー・テューダーもかっこいいです。
なんだか、このアーサーとヘンリー・テューダーの話は男のロマンたっぷりですね。
戦士の心は、受け継がれるのですね。^^
id:nezuzyouziさん
いつもコメントありがとうございます!
アーサー王伝説は多くの歴史に影響を与えているんですよ。とても面白いです。
戦士・騎士の思い、ロマンが感じられて、興味深いです。nezuzyouziさんもこういう話お好きなんですね。(^^)
僕は、男のロマンが好きなんです。
だから、アーサーの物語も好きになりました。ロマンはいいものですね。^^
たなかあきらさん、コメントありがとうございます。