イギリス王室のチャールズ皇太子、ウィリアム皇子、ヘンリー王子・・・みんなの名前は、本来のイングランド人の名前じゃない???
(18.7.14更新)
ちょっと過激な発言で失礼しました。しかし、イングランドが誕生したころの、イングランド王の名前を見てみると、あれっ?ということに気がつきます。
11世紀前までのイングランド王の名前は、エドムンド、アルフレッド、エドガー、アセルレッド・・・など何れもちょっと厳つい戦士のような名前ばかりです。
「あれっ、ヘンリー、チャールズ、ウィリアムの名前は全く出てこないけど、どう言うことだろうか?」
その答えの真相は、イギリスの歴史に隠されていたのです。
イングランド(イギリス)の始まりは
イギリスの正式名は「グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国」で、主にイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドで成り立っています。イギリスの中心的な国であるイングランドは、いつから始まったのか知ってるかい?
ええっと・・・エリザベス女王は知っているけど、、、
イングランドが形成された概要を話そう。イングランド人の元となるアングロ・サクソン族(アングル人、サクソン人)は、もともとドイツ北部に住んでいたゲルマン系民族なんだ。5世紀の中頃から、当時ブリタニアと呼ばれたグレートブリテン島に侵略を始め、領土を広げていったんだ。そして現在のスコットランドとウェールズ付近を除くグレートブリテン島を支配し、927年にイングランド王国が建国されたんだよ。
(イングランドを建国したアゼルスタン王)
先ほど出てきた、エドムンド、アルフレッド、エドガー、アセルレッドなどの、厳つい名前は、イングランド王国を作ったアングロ・サクソン族の王の名前だよ。
ということは、ヘンリーとかウィリアムなどの名前がついている今の王室の血筋は、アングロ・サクソン族ではないということでしょうか?
そう、君がさっき言った、エリザベス女王(エリザベス1世)も、ズバリ言うとアングロサクソン族ではないんだよ。
今のイギリス王室はどこから来たのか?
それまでのイギリス王室はアングロ・サクソン人がなっていたんだけど※、現在のイギリス王室は、1066年にウィリアム一世によって始められたんだ。ウィリアム一世はイングランド人ではなく、フランスに住んでいたノルマン人のノルマンディー公のギョーム二世なんだ。
1066年にノルマンディー公ギョーム二世は、海を越えてイングランドに攻め込み、当時のイングランド王ハロルド2世に勝利し、ウィリアム一世としてイングランド王になったんだ(これをノルマンコンクエストと呼ばれています)。
イギリスの歴史を変えたノルマンコンクエスト(ノルマン征服)の再現が行われた
こうして、フランスに住んでいたノルマン人がイングランド王として後継していくんだ。このため、その後数百年にわたってイギリスの公用語は、英語ではなくてフランス語だったんだよ。
※一時期、ヴァイキングがイングランド王になったこともありました。
(ウィリアム一世像)
つまり、時代の流れを簡単に説明するとこんな感じだな。
①927年~1013年まで
アングロサクソン人がイングランド王となった。エドムンド、アルフレッド、エドガー、アセルレッドなどの名前が、イングランド王についていた。
②1014~1066年まで
アングロサクソン人と、イングランドに侵略したヴァイキングのデーン人が入れ替わってイングランド王となった。
③1066年以降
フランスのノルマン人が、イングランド王になった。それ以降は、ウィリアム、ヘンリー、リチャード、チャールズなどフランス風の名前が付けられるようになった。
なるほど~。同じ一つの国、イングランドでも王になる民族は入れ替わり、立ち替わりしているんですね。それに伴って、王の名前の傾向も変わっていたんですね。
イングランド王の名前は、フランス語由来でした
このような歴史的な背景の為、イングランド王はフランスの名前の影響を大きく受けるようになった訳だよ。
イングランド王に就いた名前は、フランス語ではどう読むんですか?
例を示そう。
フランス語でギョーム⇒ 英語でウィリアム
フランス語でアンリ ⇒ 英語でヘンリー
フランス語でシャルル⇒ 英語でチャールズ
フランス語でジョルジュ ⇒ 英語でジョージ
今の皇太子や王子が将来イギリス国王になる場合は、とチャールズ皇太子はチャールズ三世になり、その後ウィリアム王子はウィリアム四世、この前生まれたジョージ王子はジョージ七世になるってわけさ。
ウェールズ人の名前も、ウェールズの名前ではない?
ついでに、このブログではウェールズの関する内容を紹介しているので、ウェールズの名前についても触れておこう。
中世のウェールズ人の王の名前は、ロドリ(Rhodri)、リウェリン(Llylwelyn)、グリフィズ(Gruffydd)、ダヴィッド(Dafydd)、オウァイン(Owain)などだ。※※
スペルを見ると、どうやって発音したらよいのか分からない名前ばかりですね。舌も噛んでしまいそう。
今のウェールズ人の名前を見ると昔とは大きく変わっており、ウィリアムス(Williams)、 ロバーツ(Roberts)、フィリップス(Phillips)、 ヒューズ(Hughes)、ジョーンズ(Jones)、エヴァンス(Evans)、 デーヴィス(Davies)などだ。
これにも、ウェールズの歴史の背景があるんだ。ウェールズもイングランドの場合と似ており、13世紀後半以降ウェールズがイングランドに支配されてしまったので、ウェールズ従来の名前ではなく、フランス化されたイングランドの名前に似るな。(英語名にsを付けた感じ)」
最後に一言
イングランドはお話ししましたように、争いによって支配する民族が変わり、その影響で王の名前も大きく変わってきました。
私たちの名前を見てみると、同じ日本人の名前でも、時代を経るにしたがって様々な影響を受けて、大きく変わっていますね。名前を見ると、その人が生きた時代がなんとなく分かる感じがします。名前の文化はとても興味深いですね。
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最後まで読んでくださり有難うございました。
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