正真正銘のプリンス・オブ・ウェールズの登場から結末について

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「前回は、イギリスのウェールズはノルマン人のイングランドに攻められ国が縮小していましたが、プリンス・オブ・ウェールズが登場して勢いがつきウェールズを取り戻したプリンス・オブ・ウェールズの前半の時代をお話ししました」

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今回の話、プリンス・オブ・ウェールズの時代(後半)

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「今回第9話は強力なプリンス・オブ・ウェールズが再度登場してイングランドとの戦いを繰り広げるものの、ウェールズの勢いは終息に向かったプリンス・オブ・ウェールズ時代の後半ついてお話しいたします」

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※時代の区切りや呼び方は筆者が独自に表現しているものです

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プリンス・オブ・ウェールズの巻き返し

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「前回の最後に話したように、ウェールズにリウェリンという強力な王が出現してイングランドからグウィネズを取り戻し、さらに隣国のポウィス国も併合して勢力を伸ばしたんだ」

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グウィネズ(Gwynedd)、デハイバース(Deheubarth)、ポウィス(Powys)の三国

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「しかし、そこに待ったをかけた人物がいたんだ!」

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「ひょっとして、またイングランドの王ですか?」

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「そうなんだ。リウェリン王は悪王と呼ばれたイングランドのジョン王との仲が悪くなり、攻撃を受け多くの領土を取られてしまったんだ」

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イングランド王、ジョン王

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「リウェリンとウェールズ大ピンチですね」

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「そう大ピンチ。このままではウェールズは衰退してしまう・・・・そんな時、リウェリンの妻ジョアンに救われたんだ。妻ジョアンはジョン王の娘であり、娘の説得によりジョン王は、リウェリンから領土を全て奪うことを止めたんだよ」

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※リウェリン大王の妻、レディー・ジョア

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ジョアンはウェールズの救世主、女神ですね」

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「僅かな領土になってしまったリウェリンだったけれど、ここから巻き返しが始まったんだ。失地王として悪名高いジョン王は、反抗勢力であるイングランド諸侯達の圧力により1215年にマグナカルタに調印したんだ。このマグナカルタウェールズは大いに救われたんだ」

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「このマグナカルタ協定の内容により、リウェリンは人質や土地を回復して勢いに乗ったんだ。ほぼウェールズ全域に支配力を広げることができ、ウェールズの最大権力者として君臨したんだ」

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「だからリウェリンも大王(ザ・グレート)と呼ばれているんですね」

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「リウェリンはプリンス・オブ・ウェールズは名乗らなかったけれど、事実上はプリンス・オブ・ウェールズと言われているんだ」

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ウェールズ北部、コンウィの街を見守るリウェリン大王像

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「リウェリン大王、かっこいいですね!」

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「いや、そうでもないんだよ。今度は、リウェリン自身の身から出た錆で、再びウェールズを混乱させてしまうんだ・・・」

プリンス・オブ・ウェールズの失敗で再び混乱

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「リウェリン大王には長男グリフィズと次男ダヴィッズの二人の息子がいたんだ。ウェールズ法に従うと後継者はグリフィズなんだけど、リウェリン大王はダヴィッズを溺愛し、後継者にしたかったんだ。そこで、ウェールズ法を改訂しローマ法皇にもダヴィッズを正統な後継者であると認めさせたんだ」

※公式上はダヴィッズが初代のプリンス・オブ・ウェールズ

「これが大問題だったんだ・・・」

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イングランドのヘンリー三世は当初ダヴィッズの後継を認めたんだけど、リウェリン大王が没すると態度を急変させ、グウィネズの狭い領土しか認めなかったんだ」

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「そこでダヴィッズはヘンリー三世と争いを始め、さらにグリフィズ支持派とも対立してしまうんだ。ウェールズは混乱して行き、ますますイングランドの力にも押されていくんだよ」

「ついにダヴィッズとヘンリー三世の間で戦争勃発!というときにダヴィッドは急死し

さらにグリフィズもロンドン塔から落ちて事故死し、ウェールズは弱体化をたどっていくんだ」

※グリフィズの事故死の記事

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「せっかくの大王なのに、残念。またウェールズ勢力を取り戻すチャンスはないのですか?」

再度巻き返したプリンス・オブ・ウェールズ

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※リウェリン・ザ・ラスト王の像

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「そこで最後の男が立ち上がったんだ。その名の通り、リウェリン・ザ・ラスト。リウェリンばかりでヤヤコシイけれど、このリウェリンはプリンス・オブ・ウェールズになったんだ」

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「リウェリンはウェールズの独立にこだわり、イングランド王ヘンリー三世への忠誠を拒否し、対立する兄弟を投獄してグウィネズの支配権を奪ったんだ」

「さらに隣国のポウィスやデハイバースにも武力で忠誠を誓わせ領土を奪い、ウェールズの大部分を支配下に置いたんだ。そして、ヘンリー三世と協定を結び、プリンス・オブ・ウェールズを認めさせたんだ」

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「おおお、ウェールズ復活ですね! でもなんかリウェリンは怖そうな気がしますね・・・」

名のとおり最後になってしまったプリンス・オブ・ウェールズ

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「リウェリンは力づくで奪った権力で、人望が無かったことが問題だったんだ。ヘンリー三世の後、エドワード一世がイングランド王になると、リウェリンに領土を奪われたイングランドのバロン達が反撃を始め、他のウェールズ諸侯達までも寝返ってイングランドと平和協定を結ぶなど、リウェリンの立場はドンドン劣勢になって行ったんだ」

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「リウェリンは改心したんですか? それともやられてしまったとか」

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「エドワード一世に攻められた時には、弱体化したリウェリンには成す術べなく、イングランドに有利な条約を結び領土は大幅に縮小されてしまったんだ」

「もはやウェールズイングランドに占領されたかの様に、イングランドの権力やイングランド法を許容される様になり、ウェールズの人々から大きな反感が募っていったんだ。そしてついに、最後の戦いが起きたんだ」

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「1282年にリウェリンの弟ダヴィッズが起こした反乱はウェールズ中に広がり、リウェリンも反乱に参加したんだ。しかし、準備不足と弱体化したウェールズ軍は何れもイングランド軍に敗北し、リウェリンは戦死しダヴィッドは捕らえられ処刑されてしまたんだよ」

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※捕らえられたリウェリン

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「あああ、とうとうこれでプリンス・オブ・ウェールズウェールズは終わってしまったのですね」

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今回の纏め、最後のプリンス・オブ・ウェールズ

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「この敗北によりウェールズは事実上イングランドの支配下に置かれ、ウェールズ人によるウェールズ統治が終わってしまいました」

「この最後の反乱の後、エドワード一世がウェールズを監視するために北ウェールズにコンウィ城、ビューマリス城、カナーヴォン城、ハーレック城など強大な要塞城を築きました。これらの城はアイアンリングとも呼ばれ、現在は世界遺産として登録されています」

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プリンス・オブ・ウェールズの王冠も奪われイングランドに持ち去られ、ウェールズを統治するウェールズ人のプリンス・オブ・ウェールズは事実上終焉しました(後に非公式ですが、英雄オウァインが名乗ります)」
「以後、正式なプリンス・オブ・ウェールズイングランド王の皇太子が務める慣わしになりました。続きはまた次回」

※次回の記事

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最後まで読んでくださり有難うございました。

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