「前回は、ウェールズにおけるプリンス・オブ・ウェールズの時代についてお話いたしました。ウェールズにプリンス・オブ・ウェールズを名乗る強力なウェールズ王が登場しましたが、ノルマン人のイングランド(エドワード一世)に征服されてしまったのです」
「その後のウェールズはどうなったのか? 再びプリンス・オブ・ウェールズの出現なるのでしょうか?」
ウェールズのノルマン時代の概要
「今回は、ウェールズがノルマン朝イングランドに支配に不満を持ち、最後の英雄がウェールズ独立奪回のためにイングランドに立ち向かったノルマン時代についてお話いたします」
※時代の区切りや呼び方は筆者が独自に表現しているものです
最後の英雄、プリンス・オブ・ウェールズが現る
「プリンス・オブ・ウェールズのリウェリン・ザ・ラストがイングランド軍に敗れて征服されて以来、ウェールズは暫くの間はイングランドに平定されていたんだ」
「しかしベストが流行し、またイングランドとフランスとの戦いの戦費を得るためにウェールズに重税をかけたことから、ウェールズの人々のイングランド支配に対する不満がたまってきたんだ」
「また、だれか救世主みたいな人物がウェールズに登場するといいですねぇ」
「その期待に応えて、ウェールズの支配を取り戻そうと立ち上がったウェールズ貴族が出現するんだ。最後のウェールズ人でプリンス・オブ・ウェールズを名乗った英雄、オウァイン・グリンドゥール(オウァイン・アプ・グリフィズ)だ!」
「その最後のプリンス・オブ・ウェールズの話、聞かせて下さい!」
楽天家のプリンス・オブ・ウェールズ
「しかしオウァインは楽天家で、なかなか救世主になる道のりは遠かったんだ」
「オウァインは少年時代に父親を亡くし、イングランドの貴族に引き取られて、法律家になるよう英才教育を受けたんだ。オウァインはイングランド王室へ忠誠を誓いリチャード二世に仕え、ウェールズ人でしたがイングランド法廷へも出入りを許されていたんだ」
「そんな中、ウェールズの人々はヘンリー四世のウェールズに対する圧政に不満を感じ、オウァインにイングランドに対抗するように懇願したんだ。オウァインはイングランドで、何の不自由もない恵まれた暮らしをし、戦いも好まなかった。オウァインにはイングランドと戦う理由がなく人々の要望を断ったんだ」
「なるほど。ままあ、そうですよね」
「さらに隣国のイングランド侯爵が、オウァインの領土を奪い始めた時も、オウァインは、気にもかけず静かに状況をみているだけで動こうとしなかったんだ」
「自分の領土が奪われているのに、オウァインは楽天家だったんですね~」
「オウァインは法律家になりたかったので、少々土地を奪われても興味なかったかもね。争いを起こすより仲間と楽しく過ごす方が良かったようだ」
楽天家のプリンス・オブ・ウェールズも牙をむく
「しかし、ウェールズとオウァインの事態はどんどん悪くなっていったんだ。イングランドのウェールズでの非道ぶりに耐えきれず、司教たちがイングランド議会に訴えますが無視されたんだ。さらに、ヘンリー4世からはオウァインは反逆者だとレッテルをはられ、討伐例が下ったんだ」
「それは大変だ。今度はオウァイン、動かざるを得ないんじゃないですか?」
「さすがに、オウァインも堪忍袋の緒が切れた様だ。オウァインは自らプリンス・オブ・ウェールズを名乗り、イングランドに反乱を起こしたんだ」
「かっこいい、オウァイン!プリンス・オブ・ウェールズ!僕も名乗ってみたいな~」
「オウァインは持ち前の優しく温かな魅力を発揮して、イングランド王に不満を持つ諸侯を仲間に取り込み、フランス王の協力まで得ることができたんだ」
「これ、ひょっとしてウェールズの大逆転ですか??」
「ん~残念。一時は、ほぼウェールズ全域を掌握したんだけど、フランス軍が事情により本国に帰ってしまい、もうあと一歩というところでイングランド打倒計画は流れてしまったんだ」
「これによりイングランド軍は立ち直り、ウェールズ軍を崩し始めたんだ。オウァインもついにイングランド軍に大敗北し、反乱の勢いは徐々に衰え始めたんだ。最後のプリンス・オブ・ウェールズ、オウァイン・グリンドゥールの反乱は自然消滅していったんだ」
「最後のプリンス・オブ・ウェールズも消えた。もうこれで完全にウェールズはイングランドに征服されたんですね・・・」
最後のプリンス・オブ・ウェールズの纏め
「この後、ウェールズはイングランドに支配され、ウェールズの支配を取り戻そうと戦いを挑むことはありませんでした。しかし、イングランド王室の権力争いである「ばら戦争」の最後の戦いとなったボースワース野の戦いが1458年に起きます」
「ウェールズ王室の血を引き継ぐヘンリー・テューダーは赤薔薇のランカスター軍を率い、白薔薇のヨーク軍のリチャード三世を破り、ヘンリー7世としてイングランド王となりました。こうしてウェールズ王室の血はイングランド王室に受け継がれることになったのです」
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追伸:
これまでウェールズの古代~中世の歴史について書いてきました。
ここに一覧に纏めました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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