こんにちは。ウェールズ歴史研究家、たなかあきらです。
「アーサー王の宮殿があるキャメロットはどこにあるのだろうか? 」
という疑問を持ちませんか?
キャメロット(Camelot)は実在の都市ではなく作り話だ、という説もありますが、キャメロットの候補地は数多くあります。
今回は、候補地の中から有力な6つの場所を取り上げました。
初めてキャメロットが登場したのは?
キャメロットの名前が初めて登場したのは、12世紀のフランスの詩人クレティアン・ド・トロワが書いた、ランスロット卿についての話の中です。
ランスロット自身ももこの物語で初めて登場し、アーサー王物語の中に取り入れたのではと言われています。
しかし、ブリタニアについては十分に描かれてはおらず、13世紀以降に他の作家などによって描かれていったそうです。
キャメロットが実在したと言われている候補地
カールレオン説(Caerleon)
カールレオンにあるローマ遺跡(ウィキペディアより)
カールレオン(日本語ではカーリアンと表記することも)は、ウェールズ南部に位置し、ローマ帝国時代はイスカ・シルラムと呼ばれる要塞都市でした。
当時レギオと呼ばれた場所の首都です。カールレオンはアーサー王物語の中でも何度も登場し、アーサー王物語の原形と言われている「ブリタニア列王史」の中でも重要なイベントの記述がされています。
・レギオの首都での聖霊降臨祭
・アルトゥールス(アーサー)の戴冠式
このような重要な儀式をカールレオンで行ったとすると、カールレオンがキャメロットである可能性は高いのではないかと考えられます。
場所:Caerleon Roman Fortress and Baths
※絶版中
ウィンチェスター説(Winchester)
ウィンチェスターにある円卓
ウィンチェスターは現在のイングランド南部に位置します。
トーマス・マロリー卿が1485年に書いた「アーサー王の死」には、「キャメロット、英語名ではウィンチェスター」と書かれています。
また後に、ランスロット卿、パーシヴァル卿、エクター卿についての場面でも、同じくこう述べています。
「彼らは出発し、5日以内の旅で、キャメロットに到着した。キャメロットは英語で、ウィンチェスターと呼ばれている。そして、ランスロット卿が彼らと一緒に来た時、アーサー王とすべての騎士たちは、ランスロットに大きな喜びを与えたのである」
また、アーサー王の円卓と考えられている、ウィンチェスター円卓(Winchester round table)は、ウィンチェスター城のホールに置かれているのです。
場所:アーサー王の円卓(ラウンドテーブル)の場所は? 円卓は結婚祝いだった?
※アーサー王物語と言えば、まずはこの本
カーライル説(Carlisle)
世界遺産、ハドリアヌス城壁も通っている、カーライル (ウィキペディアより)
カーライルはスコットランドとの国境に近いイングランド北部にあり、古くからローマ軍の要塞として主要都市でした。
アーサー王物語の中でも、いくつかある宮殿のうちの一つがカーライルにあるようです。
パーシヴァル卿がカーライルにいるアーサー王を訪れ騎士になりましたし、ローマ皇帝ルーシャスからの使者はアーサー王のいるカーライルに来た、と書かれています。
更にアーサー王とグィネヴィア王妃についてこんな詩があります。
アーサー王は楽しいカーライルに住んでいる
そして、そこにはアーサー王と共にグウィネヴィア王妃がいて、その花嫁はとても華やいでいる。King Arthur lives in merry Carlisle,
And there with him Queen Guenever,
That bride so bright of blee.
カーライルもキャメロットの候補地の一つとして重要な場所と思います。
その他
その他も多くの場所が、キャメロットの候補地として挙げられています
・ケアウェント:ウェールズ南部にある、ローマ時代の主要な要塞都市。ケアウェントはVenta Silurumと呼ばれ、一方、キャメロット説が強いウィンチェスターはVenta Belgarumと呼ばれていました。
ウィンチェスター説を記述したトーマス・マロリー卿か彼の話を聞いた人が、ケアウェントとウィンチェスターを勘違いしたのではないか?という説もあります。
なお、ウェールズ語のケアウェント(Caerwent)を英語に翻訳すると、ウィンチェスター(Winchester)となるらしいですよ。
・カドベリー城:イングランド南部にあり、南カドベリー教会の南の端にキャメロットがある、との記述があります。住民はこの要塞の洞窟にアーサー王と騎士たちが眠っていると信じているらしいです。
場所:Cadbury Castle, Somerset – Wikipedia
・キャメルフォード
アーサー王の誕生の地と言われるコーンウォールにあり、コーンウォールのキャメロットと呼ばれています。
シェークスピアのリア王で、ケント侯爵がコーンウォール侯爵に「私は貴方をおしゃべりなキャメロットの家にお送りするよ」という発言があります。
場所:Camelford – Wikipedia
まだまだ、他にもキャメロットではないか?と考えられている場所は多くあります。
最後に
何れが、キャメロットであるのか詳しいことは分かりませんが、自分のお気に入りの場所をキャメロットと仮定して想像を膨らませると、夢があってとても楽しめると思いますね。
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最後まで読んでくださり有難うございました。
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