アーサー王物語には、「クラデルマント王」が登場します。
クラデルマントとはどんな人物なのでしょうか?
・クラデルマントの概要
・実在のクラデルマント
についてお話いたします。
アーサー王物語に登場するクラデルマントの概要
クラデルマント(Cradelmant)はノガレス(Norgales)の王でした。アーサー王が王となった時、アーサー王に敵対視し、反乱を起こした11人の王の1人です。
クラデルマントは5000人の兵力を引き連れ、アーサー王と戦いました(ベドグレインの戦い、the Battle of Bedegraine)。
11人の王たちはアーサー王の軍に善戦しましたが、サラセン人が11人の王たちの領土に侵略してきたため、アーサー王との戦いを休戦せざるを得ませんでした。(クラデルマント王はアーサー王との一騎打ちで、2度打ちのめされる)
※クラデルマントはアーサー王と和解し、クラレンスの戦い( Battle of Clarence)などでアーサー王の軍に加わり、アングロ・サクソン軍に勝利しました。
実在のクラデルマントの概要
アーサー王物語に登場するクラデルマント(Cradelmant)はノガレス(Norgales)の王で、ノガレス(Norgales)は北ウェールズ(North Wales、ノースウェールズ)の事であろうと、推測されます。
5世紀の北ウェールズの一国Gwynedd(グウィネズ)には、カドワロン(Cadwallon)と呼ばれる王がいました。このカドワロンが、クラデルマントのモデル人物と言われています。
カドワロンはどんな人物だったのでしょうか?
カドワロン(本名:Cadwallon ap Einion)は、北ウェールズを統治したエイニオン(Einion)の息子で、ウェールズ王室を始めたキネダ(Cunedda)の孫にあたります。
👉カドワロンの祖父キネダについて:僕らの生き方に活かせるウェールズの創始者の秘訣
カドワロンは父より領土を受け継ぎますが、その領土に広さに満足していませんでした。当時の北ウェールズは、アイルランドからやってくるスコット族に占領されている領土が多くありました。
そこで、カドワロンは従兄弟たちと協力して、スコット族を追い払い、領土を広げ北ウェールズの大部分を手に入れることが出来ました。
カドワロンは勇敢でとても強い騎士でもありました。
カドワロンは別名「ロング・ハンド」とも呼ばれ、名の通りとても長い腕を持っていました。
”カドワロンは腰を曲げることなく、地面の石をつかむことができ、カラスを打ち落とせた” と言われています。この長い腕を利用して、敵を圧倒したと推測できます。
後にウェールズの人々はカドワロンの勇敢さに敬意を示し、彼のお墓に教会を建てたと言われています( Llanbabo)
※この時代のウェールズの歴史概要が分かります
👉<改訂版>第2章 ローマが去りアングロ・サクソンとウェールズ王室がブリタニアにやってきた
※カドワロンの息子はマエルグウィン(Maelgwin)で、マエルグウィンもアーサー王物語の中では、「百人の騎士の王」(マラグウィン(Malaguin)として登場しています。
マエルグウィンの記事
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