「前回の24話では、何とエドムンド王が、ハウェルの亡くなった弟クラドグにそっくりだった、という内容でしたね」
「エドムンド王とハウェルが初対面で仲良くななり、嫌味なハゲのイドワルをそっちのけにしたのは、ちょっと気分がすっきりしたな」
「ところが、イングランド王のエドムンドとハウェルの関係に、イドワルは腹を立てて動き出します。イドワルは何をし始めるのでしょうか」
これまでのあらすじ
ハゲの陰謀
「おい、部下はおらぬか、部下は!」
「へい、ただいま」
「ハウェルの奴とエドムンド閣下の会食で何をやっていたか、情報は得たのか」
「はっ・・・・それが・・・・」
「なんだ、言ってみろ」
「申し上げにくいのですが・・・彼らは同盟を結んだそうです」
「何、同盟だと! ウェールズの統治者のワシを、またもや差し置いて、ハウェルがエドムンド閣下と同盟だと! 許せん!」
「ハウェルも許せぬ。エドムンド閣下も許せぬ・・・・エドムンドの奴め、この前もワシを無視しやがって! おい、お前! ありったけの兵を国中から集めてこい!」
「ははっ、また戦争でも始めるおつもりでしょうか?」
「ハウェルくん。ちょっと嫌な噂を耳にしたんすよ」
「実は私も、気になっていることがあって」
「ハゲのイドワルの事なんすけどね。最近、軍備を整えてるって聞いたんすよ。君は何か知らんすか?」
「私もイドワルの動きが気になっていて、戦争を仕掛けようとしているのかも知れません」
「うむむむ。ワシとハウェルくんの同盟が影響してるかもっすね。アホなことを、イドワルが考えてないといいっすけど・・・。そんでハウェルくんに相談なんす」
「エドムンド閣下のご相談なら、なんでも聞かせていただきます」
「同じウェールズの国内っす。ハウェルくんがイドワルの所に行って、もしアホなことを考えていたら、止めるように言ってくれんすか?」
「分かりました、エドムンド閣下」
最後の説得
「ハウェル、なんだお前らは、ノコノコとやって来やがって」
「イドワル、悪いことは言わぬ。もし、戦争をおこそうと考えていたのなら、止めろ。戦争を起こしたところで、何の得もない」
「誰に向かって口をきいていると思っているのだ。ハウェルのぶんざいで。ワシはウェールズの統治者だ。ワシの行動を決めるのはワシだぞ」
「それは、分かっているわ。仮にウェールズの統治者があなただとしても、平和を求めている中で、戦いを起こしちゃだめよ」
「どいつもこいつも、うるさい! 何なんだお前らは!」
「イドワル、お前の父親のことを忘れたか。暴君だったアナラウド、お前は嫌っていただろう」
「くそっ。親父にはこう言われたわ」
「ああ、ムカつく!! 俺はこう思ったわ!」
フン、暴君の親父もよく言ったもんだ。オレはウェールズ統一よりも我が領土グウィネズにしか興味がない。
増してやカデルの息子ハウェルなどにも興味はない。厄介な奴なら、税を引き上げ略奪をして、反抗できない様に叩いておけばよい。それより、強国のイングランドとどうやって付き合っていくかが重要だ
意外な旗揚げで始まった復活への狼煙 ~たたかうカムリ戦士たち 第6話~ – イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ
「だから、俺はイングランドの王たちと同盟を結ぼうと、あの手この手を使ったんだ。しかし、ハウェル、お前がウロチョロと邪魔をして、俺を差し置いて同盟を結びやがって。だから、お前を叩きにかかったんだ」
「結局、お前も暴君だった。お前の父親と何も変わらないぞ。権力を我がも似にしたいだけじゃないか!」
「そうだ、ワシはウェールズ最大の権力者だ! ワシが自分の権力を誇示し、権力を使って国の強くしていく、何が悪い」
「俺の親父が、お前の親父に敗れたときに言った言葉を教えてやろう」
息子よ、ハウェルよ。再びウェールズを統一し平和な時代にしてくれ。そのためにしっかり学び実力を蓄えてくれ。ワシはイングランドに行ったことがある。独裁ではなく政治の仕組みがきちんとできていた素晴らしい国であった。
今のウェールズはどうか? 何の決まりもなく自分たちの首を絞め合う野蛮な国だ。ハウェルよ、お前はそんな平和で進化したウェールズを作ってくれ
混乱の果ての新たな希望 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第5話~
戦わずして勝つ方法? ~たたかうカムリ戦士 第11話 – イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ
「もう、武力や権力を行使する時代は過ぎ去ったんだ。そんな事ばかりしていては、時代に乗り遅れ、周りの国々から取り残されていくんだ。野蛮なウェールズは変わらなきゃいけないんだよ」
「イドワル、あなたアゼルスタン閣下や、エドムンド閣下から避けられてなかった?」
「オレは、仲間外れにされていたんだ。嫌われていたんだよ!」
「違うわ。イドワルを嫌っていたわけじゃないのよ。みな、イドワルの心の底にある、権力を振るって我が物にしよう、という魂胆を感じて避けていたのよ。あなたを避嫌っていたわけじゃないのよ」
「うるさい! そんなことはない、そんなはずは・・・・」
「俺は父が広げたウェールズを受け継いだ。そのウェールズを守っていかなきゃならない義務がある。お前らに渡すものか。イングランドの奴にも渡すものか。オレの権力は誰にも渡すものか。渡すものか。奪えるなら奪ってみろ、もう遅いわ!」
「もう話すことは何もない、帰れ! 何が起きるか、楽しみにしておけ!」
つづく
※ストーリー一覧
※おススメ記事です
最後まで読んでくださり有難うございました。
コメント