こんばんは。ウェールズ歴史研究家、たなかあきらです。
今回の「出稼ぎ勇者」の主人公は、
食えない傭兵だった男たち
昔々のことでした。
現在のドイツのある所に、ヒンギストとホルサという兄弟がいました。
兄弟は戦士でした。しかし、主君はいませんでした。
彼らはそう、雇われ傭兵として各地に赴き、
「兄貴、最近はサッパリだなあ。良い仕事はないだろうか?」
「俺たちには無敵の武力があるだろう。何とかなるさ。
ヒンギストとホルサ兄弟は、腕はよいが素行は荒く、
次第に、ヒンギストとホルサには傭兵の仕事が来なくなっていきました。
「兄貴、暇だなあ〜金もないし、食いものもないし、戦いもない」
「うむ。あるのは暇だけだ。ああ、思いっきり暴れたいなあ」
傭兵を探していた男
一方、ブリタニアでは暗黒王ヴォルティゲルンが苦闘していました。
敵から攻められて、兵力にも限界が来ていました。
「ぅぁぁああ、また敵が攻めて来よる。
「ぅぁぁああ、何ともならん。おい、何とかならんのか?」
「へへっ、傭兵を雇ってはいかがでしょうか、ヴォルティゲルン様」
「この前、北の国の何とやらを傭兵に雇ったばかりではないか。そう、そのキネダとか言う傭兵はまだ着かぬのか?」
「まだ着きませぬ。なにせ、キネダですから」
「・・・・」
「失礼。冗談はさて置きまして、素行に難はありますが、
「金は幾らでも払う。その兄弟とやらを直ぐに連れて参れ」
仕事が見つかったぞ!!
この依頼はすぐさま、暇を持て余していたヒンギストとホルサに届きました。
「弟よ、仕事だ」
「本当っすか。それで、何処ですか?」
「ブリタニアの南部だ。ヴォルティゲルンというバカ王子が、
「暖かで良さそうですね。ふふふ、滅多にないチャンス。
今回の「出稼ぎ勇者」は、いえ、
ヒンギストとホルサの戦いぶりは、前評判通りでした。
次々と敵のスコット族やピクト族を倒していきました。
「さすがはヒンギストとホルサ兄弟。見ていて頼もしいわ。
仕事を生み出す方法
「何とも手応えのない戦いだ。
「このままでは、仕事が終わってしまうぞ。国へ帰ったらまた、
「ヴォルティゲルンから搾取できる手を何とか考えねば」
★第1ステージ、プレゼント作戦
「ヴォルティゲルン殿、こちらが我が国の特産物です。お召し上がりください」
「おお、済まぬな。なかなか、旨いではないか」
「こちらが我が国の洋服です」
「おお、素晴らしい。どうだ似合うか?」
「こちらが我が国のワインでございます」
「ううむ。美味美味。ブリタニアとはうまみが違う」
★第2ステージ、くれくれ作戦
「ヴォルティゲルン殿、住む家が欲しいのですが」
「お安い御用だ」
「ケントに住みたいのですが」
「わかった」
「作物を育てる土地が欲しいです」
「ん〜考えておこう」
「ヒンギストとホルサの奴、十分に報酬を与えているのに、
★第3ステージ、略奪作戦
「弟よ、そろそろ仕上げに行くか」
「ラジャー!」
これから起きることが、長剣の夜(the Night of the Long Knives)と言う事件です
ヒンギストとホルサ兄弟、
「ヴォルティゲルン様、さっ、もっと飲んでくださいよ」
「結構よっぱらった。オレはこれ以上は飲めぬ」
「そんなこと言わずに、ヴォルティちゃん。もっと、お飲みにな・っ・て」
「おっ、、そうかぁ。じゃ、飲んじゃおうかな」
「きゃー、す・て・き」
「オネーチャン、とってもかわいいね。好きになっちゃおうかな~」
今だ!とばかりに、ヒンギスととホルサ兄弟と手下たちは、長剣を手にヴォルティゲルンの部下たちをやっつけ、ヴォルティゲルンを取り囲みました。
「ヴォルティゲルン様。ケントの地を我々にくださいませんかねえ」
「ひっく、なんでお前らのような奴に、ケントを。ヒック」
「首が飛んでもいいのですかぁ? ただとは言いませんよ。ヴォルティゲルン様は我が娘ロンウェンをお渡ししても良いのですがね」
「ヴォルティちゃん! どおぉ」
「ん、そうかそうか。そんなら、何でもあげちゃう」
こうして、グレートブリテン島の東部にあるケントはヒンギストとホルサ兄弟の領土となったのでありました。
★第3ステージ、ドヤドヤ作戦
「よし、よし、上手くいった。領土確保、第3ステージ完了」
「では次のステージ、ドヤドヤ作戦」
「ヴォルティゲルン殿、土地を貰ったので耕す人夫が必要だ。友人を何人か呼ぶが、異論はないだろうな」
「まあ、多少なら良いですよ」
ヒンギストとホルサ兄弟は本国から、
ジュート族は何度もやって来るようになり、
ジュート族と同じゲルマン系民族の、
いわゆるアングロサクソン族が、
大勢アングロサクソン族達は移住しました。
「兄貴、なんの仕事をしようか?食料も減るし・・・」
「ケントだけでは狭いなあ。もっと領土を拡げて、
「そうすね」
ヒンギストとホルサのもと、
「出稼ぎ成功!!」
最後に
ヒンギストとホルサ兄弟が作戦を開始した5世紀中旬から、
450年ごろのブリタニア。アングロサクソン族の痕跡はほとんど見られない。
600年ごろ。緑色の部分がアングロサクソンの領土となる。
こうして、アングロサクソン族はイングランドを形成したのです。
イングランドのスタートとなるきっかけが、
これまでの記事
最後まで読んでくださり有難うございました。
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