シェイクスピアの「ハムレット」は実在人物でしょうか?
「ハムレット」の原作は、12世紀に歴史家サクソ・グラマティクスによって書かれたデンマークの伝説「デンマーク人の事績(デーン人の事績)」です。
その中でアムレート(Amleth)と呼ばれる王子が登場し、このアムレート王子がハムレット王子のモデル人物です。
アムレートはどんな時代に生きた人物でしょうか?
実在人物でしょうか?
また、最後にアムレート(ハムレット)の家系図も紹介いたします。
👉「ハムレット」とアムレートのストーリーについてはこちらをご覧ください
シェイクスピアの「ハムレット」と原作「アムレート」のあらすじ。比較を解説します
アムレート(ハムレット)の時代背景
アムレート(ハムレット)の舞台となるのは、8世紀ごろと考えら れ、当時のデンマーク人はデーン人と呼ばれ、 ヴァイキングとして西ヨーロッパ諸国を巡って、 略奪行為などを始めた時期でした。
9世紀になるとヴァイキングは本格的に、イングランドやフランスへの略奪・侵略をしました。ですので、ハムレットの舞台は、その少し前の時代になります。
👉参考記事
ヴァイキングの歴史 ヴァイキングが強かった理由、語源や特徴、支配した国々
アムレートは実在人物か?
アムレートは、ユトランド半島を治めるゲルヴェンディル (Gervendill) の子ホルヴェンディル(Horvendill) と、デンマーク王ローリク(Rørik Slyngebond) の娘ゲルータ(Gerutha) との間に生まれました。
つまり、アムレートや祖父、父、叔父もヴァイキングであったと考えられます。
アムレートや父母、叔父、デンマーク王は皆伝説上の人物で、 実在人物かは不明です。
ですが、しかし、祖父ローリク王は歴史上人物との繋がりが見られます。
そこで、祖父ローリク王を起点に、 アムレートとヴァイキングの王たちの血縁関係を探ってみました。
そうしたところ母方の血筋に、 意外な伝説上の人物との関係が見えてきました。
※ハムレットでは登場人物の名前は下記の様に変えられています
・アムレート ⇒ ハムレット
・父のホウヴェンディル ⇒ 父ハムレット
・叔父のフェンギ ⇒ クローディアス
・母のグルサ ⇒ ガートルード
重要な祖父ローリク王
アムレートの祖父ローリク王は、ローリク・スリュンゲボンド(Rørik Slyngebond)の事であり、伝説のデンマーク王でした。
ローリク王は戦勝王で、クーラント(現在のラトビア)、 ヴェンランド(現在のドイツの一部)、スウェーデンを征服して、 献上品を納めさせました。
さらにローリク王の祖先が畏れ多い伝説の人物です。
ローリクの父はバルデル(Balder)で、 北欧神話の夏の神です。
さらにバルデルの父はオーディン(Odin)です。
オーディンは北欧神話の主神で、戦争と死の偉大な神です。
ヴァイキングのドラマ(Vikings)では、 人々はオーディングを崇拝し、 戦いで死んだとしてもオーディンの元に行けると、 死を恐れず勇敢に戦うヴァイキングたちの姿が描かれています。
👉ヴァイキング 〜海の覇者たち〜(Vikings)
ヴァイキングのことが良くわかるドラマ ヴァイキング ~海の覇者たち~ シーズン1のあらすじ
伝説のヴァイキング王ハロルド
ハロルド・ワートゥース(ハラルド戦歯王 、Harald Wartooth)
ローリクの息子と言われ、8世紀の伝説のデンマーク王がハロルド 王です。ハロルド王はユトランド半島(デンマーク)だけでなく、 ウェンドランド(ドイツの一部)、 スウェーデンの一部まで領土を広げたと言われています。
ハロルド王はスウェーデン王フリング(Hring)や甥のシガード・ リング(Sigurd Ring)と戦ったブラーヴェルの戦い(Battle of Bråvalla)に敗れ戦死しました。
アムレートの最後の敵ヴィグレックの子孫も面白い
ローリクが亡くなった後、後継者となったのがヴィグレック(Wiglek)です。デンマークに帰国したアムレートは、 母の財産を巻き上げていたウィグレックと戦いますが、 敗れて戦死しました。
このウィグレックの息子はウェルムンド(Wermund)で、 さらにウェルムンドの息子がオッファ王(Offa)です。
オッファ王は、デンマークを治めたヴァイキングではなく、8世紀 にグレートブリテン島におけるアングロ・ サクソン族の国マーシア(Mercia)を治めた王で、 勢力を拡大し当時は最強の力を持っていました。
👉ご参考に(オッファ王について言及のある記事)
<改訂版>第3章 戦国化するウェールズと、アングロ・サクソンの国マーシアが勢力拡大していく時代
伝説のヴァイキングのヒーロー、ラグナルとのつながり
ハロルド王との戦いで勝利したシガード・リング(Sigurd Ring)は、 伝説の北欧王でスウェーデンとデンマークを治めました。
この シガード・リングの息子が、ラグナル・ロズブローク(Ragnar Lodbrok)と言われています。
ラグナルは卓越した戦闘能力を持っており、9世紀に西ヨーロッパ 、フランス、イギリス、アイルランドを攻撃しました。
ラグナルは北欧ヴァイキングの英雄となり、デンマーク、 ノルウェー、スウェーデンを治めた伝説の王です。
ラグナルの活躍をドラマ化したのが、ヴァイキング 〜海の覇者たち〜(Vikings)です。
※「ラグナルの息子たちは歴史的人物であるが、ラグナル自身が実在したという証拠は存在しない。彼は数人の異なる歴史的な人物を混ぜたものであり、純粋に文学的な発明である」との説もある。
👉ヴァイキングのことが良くわかるドラマ ヴァイキング ~海の覇者たち~ シーズン1のあらすじ
まとめ:アムレートの家系図
アムレート(ハムレット)の家系図を書いてみましたので、ご参考に。
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