こんにちは、たなかあきらです。
今回は、現在のエリザベス女王の父である、ジョージ6世について描かれた映画「英国王のスピーチ」をご紹介します。
当時の時代背景や、主人公たちの紹介、映画のあらすじ、さらに実際のスピーチをご紹介いたします。
※「英国王のスピーチ」は第83回アカデミー賞において合計12部門にノミネート、その内主要4部門(作品・主演男優・監督・脚本)を受賞しています
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時代背景
1936年、イギリス国王ジョージ5世が亡くなり、長男のエドワードがエドワード8世として戴冠した。
時代は大英帝国の勢力がに陰りが見え始め、ヒットラーが率いるナチス・ドイツが勢力を拡大していた時期である。エドワード8世は親独派でイギリス政府と対立をしていた。
さらに、エドワード8世には問題があった。エドワードは交際の続いていた離婚歴のあるアメリカ女性ウォリスとの結婚を考えていたのである。
当時のボールドウィン首相は、対立を深めたいためにも、結婚するならエドワード8世に退位を要求した。
吃音症に悩む王子
ジョージ5世にはもう一人息子がいた。エドワードの弟、アルバートである。
アルバートは子供のころから病弱であった。「すぐに怯えだして、泣き出す子供」と言われ、成長するにつれて吃音症に悩むようになり、人前で話すことを怖がった。
左利きであったが、父から言われ右手に矯正することを強いられた。またX脚であったため矯正具を脚に着用することも強要された。脚はまっすぐになったが、ひどく痛く、これらの子供の時の体験が、吃音症に影響したのでは、とも言われている。
吃音症に苦しむアルバートは人前で話すことをとても恐れた。イギリス国王になってしまうと、国民の前などでスピーチをする機会が非常に多くなる。失敗は許されない。
アルバートは兄エドワード8世に国王を続けることを懇願した。
時代の流れは変えることが出来なかった。
エドワード8世は翌年の1937年に前代未聞の退位を決めてしまったのである。後継に選ばれたのは、エドワード8世の弟、ヨーク公爵アルバートであった。
アルバートがイギリス国王ジョージ6世として戴冠することになってしまった。
是が非でも、吃音症を克服して、国民の前で失敗することなくスピーチをしなければならなかった。
医者でない言語療法士の登場
そこで登場するのが、オーストラリア出身の演劇俳優であり、言語療法士でもある、ライオネル・ローグと呼ばれる男である。
ライオネルは演劇活動をしていたが、なかなか役を得ることができず、苦戦をしていた。また、第一次大戦後には、戦争で精神症をわずらった兵士たちに対して、精神的なケアをすることによる言語障害の治療を行い、成果を出していた。
そして、イギリスに移住して、サウスケンジントンで治療院を開業した。その時に、ライオネルはジョージ6世の治療依頼を受けたのだった。
民間療法など胡散臭く、吃音症など治らない、とアルバートは度々かんしゃくを起こした。アルバートの頑固な性格にもかからわず、ライオネルは温かく友として接し、ジョージ6世も徐々に心を開いていった。
世紀のスピーチ
ジョージ6世は、ライオネルと二人三脚で練習に練習を重ね、ついに1939年9月、ジョージ6世はドイツに対して宣戦布告のラジオ演説をすることになった。
ライオネルはその時も、ジョージ6世につきっきりとなり、イギリスの貴族たちだけでなく、労働者も農業者もすべての国民、さらに戦地におもむく兵士たちも、ジョージ6世のスピーチに耳を深く傾けた。
ライオネルとジョージ6世のその後
ライオネル(1880-1953)とジョージ6世は家族ぐるみの親密な関係が続き、ライオネルは1944年にロイヤル・ヴィクトリア勲章のコマンダー(CVO)が授与された※。
※王室に仕えた者で、王個人から贈られる勲章
1939年イギリスはドイツと対立し、連合国側として第二次世界大戦に参戦しイタリアや日本などと戦った。
ジョージ6世は、当時のイギリス首相ウィンストン・チャーチルと強く連携し、第二次世界大戦中には、イギリス国民と同じように配給制限を王室にも適用して、国民と同じ配給制限をバッキンガムにも適用した。
さらにドイツによる空襲が始まっても、ジョージ6世はバッキンガム宮殿から疎開せず、王妃エリザベスと共に各地を訪問し続け、国民を激励し士気を支え続け第二次世界大戦を乗り越えた。
第二次世界大戦で連合国側が勝利を収めたが、世界はアメリカとソ連の二大勢力となり、イギリスの地位は落ちていった。ジョージ6世は1949年にイギリス連邦元首となったが健康を損ない、ライオネルが亡くなる前年の1952年に崩御した。
イギリスの王位は長女のエリザベスが継承し、エリザベス2世となった。
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最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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