「歴史上の偉大な人物は、最初から活躍出来たわけじゃないんだ。中には、親や兄弟から勘当され、流浪生活を送っていたた人物も多くいます」
「途中から、人生逆転ってわけですね」
「人生ががらりと変わった、そのきっかけは何だったのか? 性格が全然違う2人の話を紹介します」
勘当されて大成した家康の従兄弟
「徳川家康の従兄弟に、水野勝成という人物がいました。若い頃は主君を変えまくり、フラフラと放浪生活をしていました。それには理由がありました」
「勝成の欠点は非常に気性が荒い点で、たびたび父親とは仲違いをしていたようです。
ついに、その性格が原因となり二十歳の頃、父忠重の家臣を斬り勘当されてしまいました」
「父に勘当された勝成は、人生の転機を迎えました。生活費をしていくためには、ほかの主君について稼がなければなりません。しかし、軍令を犯したり、主君が気に入らないと飛びだしてしまう厄介者でした」
「様々な主君を渡り歩き熊本、肥後、備前などを点々とする長い放浪生活を余儀なくされました。厄介者ではありましたが、武勇にはスバ抜けて優れてました。主君を変えるにつれて腕をあげ、行く先々で武功を上げ称えられたのです」
「勝成の次の転機は、やはり武勇を買われてか徳川家康の臣下となったことです。そそして、大坂夏の陣で城内に討ち入り97もの首を取ったと言われる大活躍をしました。その武勇をたたえて、勝成は「鬼日向」と言われるようになったのです」
「しかし再び性格が災いしてしまいます。命令に逆らい家康の逆鱗に触れてしまいました。それが元で関ヶ原の戦いの後には三万石程度の刈谷城主にしかなれませんでした」
「勝成が再び、認められたのは秀忠の時代。ようやく備中、備後に十万石の領土を与えられ、福山城を築きました。さすがに年を重ね人間としても丸くなっていたのかもしれませんね」
「勝成の人生は気性が原因で勘当されたり評価がえられなかったりしましたが、逆に放浪生活で多くの主君を知り、武将としての器は広がったのではと思い魅力的な人物であったと思います」
勝成が建てた福山城
全ウェールズを支配した、ぐうたらのうつけ者
肉団子を見てひらめいた男
「11世紀のウェールズ。同じように戦国の世の中だったウェールズ北部に、グリフィズと呼ばれる少年がいたんだ(Gruffydd ap Llywelyn)。先ほどの水野勝成とは正反対のような性格だった」
「グリフィズは16歳くらいの時、父リウェリンが亡くなってしまったんだ。そして父が治めていたグウィネズ国(現在の北部ウェールズ)は、領土を狙っていたイアゴという人物に奪われてしまったんだ」
「それは大変。取り戻さないと!」
「ところがだ!」
「グリフィスは隣国に逃れポウィス国で過ごしたんだが、国を取り返そうという意気込みは全くなかったんだ」
「グリフィズは他にやることがあったのですか?」
「いいや」
「僕はまっぴらごめんと無能で怠惰な青年期をダラダラと送ってたんだ。何度言っても動こうとしない「ウェールズのうつけ者」に、姉はとうとう愛想を尽かせてしまうんだ。そしてグリフィス青年を勘当して家から追い出してしまったんだよ」
「二度と返ってこなくていいわよ!」
「グリフィズはどうしたんですか? おなかも減りますよね。」
「そう、グリフィズはお腹を空かせたんだ。行くあてもなく途方に暮れたグリフィス青年は流浪生活を送らざるを得なかったんだよ。ある日、とある村を歩いているとき、料理する良い匂いがしてきたんだ」
「お腹を空かせたグリフィズはその匂いにつられて、村人の家の中を覗き込んだ。鍋では肉団子がぐつぐつと煮られており、料理している人が何やら文句を言っていたんだ」
「やっかいな肉団子だ!この1つだけ何度鍋に入れても、飛び出してきやがる」
「その飛び出るグリフィスは、はっと我に返ったんだ」
「俺は底に沈んだ肉団子になってはダメだ。あの飛び出してくる肉団子の様に、やられてもやられても、敵に抵抗して父の国を取り戻さないと・・・煮え切らない生活を送っていてはだめだ・・・・」
「煮え切らない肉団子は、ちょっと・・・」
「この肉団子鍋が転機となって、グリフィズ青年はぐうたら生活をやめ、ポウィス国に戻り兵力を蓄え反撃のチャンスをうかがったんだ」
「そしてチャンスは訪れたんだ。32歳ごろの時に、敵イアゴが部下に暗殺された隙を突き、グウィネズ国を奪回したんだ。更に勢いに乗り西部のデハイバースや南部のモーガンウィグ国も奪い取り、ウェールズ全土を掌握したんだ。」
「ウェールズの歴史において全域を統治した数少ない王の1人で、イングランドからの攻撃も防ぎ、一時ではありましたがウェールズに平和をもたらした偉大な人物となったんだよ」
「すごいですね。肉団子さまさま、ってことですね」
グリフィズが統一したウェールズ
※グリフィズの時代のウェールズ
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