こんにちは、たなかあきらです。
旧約聖書に書かれている「モーセの十戒(じっかい)」とは何でしょうか?
今回は「十戒」の起源となるストーリーと、意味を分かりやすく纏め、最後に「十戒の映画」を紹介します。
※漫画七つの大罪で十戒とはなんだろう?と疑問に思う人が多いと思いますので、ここに纏めました。
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「モーセの十戒」の分かりやすい歴史概要
「十戒(じっかい)」はモーセの十戒のことで、紀元前13世紀頃のイスラエルのカリスマ的指導者であるモーセが、神から与えられたとされる10の戒律のことです。
モーセの十戒は「旧約聖書」中で、「出エジプト記」に載っており、エジプト出発の後にモーセがシナイ山にて、神より授かったと記されています。
「出エジプト記」よりますと、主役となるモーセはエジプトでヘブライ人(イスラエル人)の家族に産まれました。
当時ヘブライ人の奴隷たちの間で、ヘブライ人の男性から救世主が現れるという噂が流れ始めました。
これを、この動きを危惧したエジプトのファラオが、男児の新生児を殺せと命令したのです。
殺戮から逃れるために、生まれて間もないモーセはナイル川に流されました。モーセは幸運にも、ファラオの王女に拾われて育てられました。
モーセは幸運でしたね。ファラオの王女に育てられ事実が隠されたままなら、そのまま王室の人間として、活躍できますね。
ところが、成長したモーセは自分が王女の息子ではなく、へブライ人の奴隷であったことを知りました。
エジプト人に虐待されている同朋のヘブライ人奴隷たちを救いたい、と思うようになりました。
あるとき虐待されるヘブライ人を助けようとしエジプト人を殺害してしまいます。
ファラオたちにも出生の秘密を知られてしまったのですね。これはモーセに身の危険が迫りますね。
ファラオに命を狙われたモーセは、ミディアンの地(アラビア半島)に逃れ、ツィポラという羊飼いの女性と結婚し、羊飼いとして暮らしました。
ある日、シナイ (ホレブ) 山で、モーセの前に神が現れました。そして神はモーセに、奴隷状態にあったヘブライ人を率いてエジプトの脱出を命じたのです。
このため、モーセは「杖が蛇になる」「手がらい病のように白くなる」「ナイル川の水が血に変わる」の3つのしるしを与えられました。
そしてモーセは「ナイル川の水が血に変わる」のしるしを使いました。
そうしたところ、「十の災い」がエジプトにくだりファラオの息子を含め、エジプトで生まれた子供(初子)が無差別に殺害されました。
むむむ・・・いくら神の使いとはいえ、かなり残酷な内容ですね。その恐ろしい「十の災い」とは、他には何があるのですか?
「十の災い」は出エジプト記に記載されており、概要は以下の通りです。
・ナイル川の水を血に変える
・カエルを放つ
・ブヨを放つ
・蚊を放つ
・家畜に疫病を流行らせる
・腫れ物を生じさせる
・ひょうを降らせる
・イナゴを放つ
・暗闇でエジプトをおおう
・長子を皆殺しする
最後の残酷なもの以外は、笑っちゃうようなものもありますけど、つなげて見ると、害虫は増え天災も起こり、農作物や家畜は取れなくなりますし、人々は苦しむでしょうね。
ついに、ファラオはモーセとヘブライ人たちがエジプトから出ることを認めたのです。エジプト出発の夜、人々は神の指示通り、子羊の肉と酵母を入れないパンを食べ、神はこの出来事を記念として行うよう命じたのです。
しかし、ファラオたちが戦車と騎兵からなる軍勢を差し向け、モーセとヘブライ人たちは紅海に追い詰められ、絶体絶命の状況に陥ってしまいました。
ヘブライ人たちもこの状況では奴隷の方がよかった、と言うものも出ました。
モーセとヘブライ人たちは、再び捕まってしまったのですか?
ここで、有名なシーンが登場します。この時、モーセが手にもっていた杖を振り上げると、紅海の水が割れたため、無事にエジプトを脱出できたのです。
後を追って海を渡ろうとしたファラオの軍勢は海に沈んでしまいました。
海が割れる有名な場面は、このシーンだったのですね。
その後、モーセは民と共に苦しい荒れ野の旅を続けます。
人々は水や食べ物のことでしばしばモーセに不平を言い、モーセはそのたびに水や食べ物を与えて神の力を示しました。
そして、ヘブライ人たちがシナイ山に近づいたとき神ヤーウェが現れました。
モーセは神からヘブライ人が守るべき「十戒」を授かり、ヘブライ人はヤーウェの民となる契約を結んだのです。
「十戒」の内容について
モーセが神から授かった「十戒」とはどんな内容なのですか?
今回の記事の本題を説明しましょう。
十戒にはプロテスタントとカトリックの十戒があり、やや異なる部分はありますが、基本は同じです。(ウィキペディアより)
プロテスタントの十戒
- 主が唯一の神であること
- 偶像を作ってはならないこと(偶像崇拝の禁止)
- 神の名をみだりに唱えてはならないこと
- 安息日を守ること
- 父母を敬うこと
- 殺人をしてはいけないこと(汝、殺す無かれ)
- 姦淫をしてはいけないこと
- 盗んではいけないこと
- 隣人について偽証してはいけないこと
- 隣人の財産をむさぼってはいけないこと
1から4までは神と人との関係であり、5から10までは人と人に関する項目です。
カトリックの十戒
わたしはあなたの主なる神である。
- わたしのほかに神があってはならない。
- あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。
- 主の日を心にとどめ、これを聖とせよ。
- あなたの父母を敬え。
- 殺してはならない。
- 姦淫してはならない。
- 盗んではならない。
- 隣人に関して偽証してはならない。
- 隣人の妻を欲してはならない。
- 隣人の財産を欲してはならない
※プロテスタントとカトリックは殆ど同じですが、違いはプロテスタントには、偶像崇拝の禁止があり、カトリックには隣人の妻を欲してはならない、の項がある点です
その後のモーセ
その後もモーセは約束の地カナンへ向けて長く困難な移動を指揮しました。
40年の後にカナンへ行く途中のモアブの地、ネボ山に没しました(享年 120歳らしい)。
※カナン:神がヘブライ人に与えると約束した地で、地中海とヨルダン川・死海に囲まれた場所
カナン – Wikipedia
※モアブのネバ山:現在のヨルダン王国、死海北端から東9キロに位置する標高802メートルの山
モアブ – Wikipedia
「モーセの十戒」の映画
youtu.be
1956年の映画で、チャールストン・ヘストン自身が作成したオリジナル版をリメイクした映画です。
60年以上前の映画だけあって実写が多く、奴隷が建造物を建てたり石を切って運ぶシーンなど、とても迫力があります。衣装もとても美しく、当時の様子がうかがえます。
チャールストン・ヘストンがモーセを演じた「十戒」である。聖書に書かれている紅海が割れ、その中をモーセなど出エジプトの民が海の中を進むクライマックスシーンはあまりに有名。
後に世に出されるアニメなどの作品でも、このシーンを元にした物が使用される事は多い。上映時間232分。(アマゾンより)
※こちらの映画が、オリジナル版です(サイレント映画)
多くの名作を残したスペクタクルの巨匠、セシル・B・デミルが手掛けた旧約聖書映画の元祖版。
神はエジプトの圧制に苦しむイスラエル民族に使者を遣わし、紅海を割ってシナイ山麓に導き十誡を授けたまう。第1部「古代編」と第2部「現代編」の2部構成。(アマゾンより)
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最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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