軟弱者が来ちゃった ~新たたかうカムリ戦士、第1話~

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こんばんは。ウェールズ歴史研究家を名乗る、たなかあきらです。
たたかうカムリ戦士、新たな章をスタートさせます。
前回までは、ハウェルとお調子者クラドグたちと、ハゲの強敵との戦いを描きました。
今回は時代が変わり、またもや争いの世界に場面を移します。軟弱者が主人公となります。

 

※これまでのたたかうカムリ戦士記事一覧

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「マレド、本当にお前は臆病でかなわんな。戦士の息子だろう、もっと力強く堂々とできないのか? そんなのではこの乱世生き残れないし、国を任せることもできんぞ」

 

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「だって、そんな戦いだなんて・・・父上に言われても、そんな乱暴なこと僕にはできないよ・・・」

 

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「話にならんな、お前はウェールズ王室の血を引くものとして恥ずかしいぞ。王室の人間として失格だな。それに引き換え、お前の兄エイニオンを見てみろ!」

 

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「戦いでは、自ら軍の先頭に立ち敵に切り込んでいく。決して後ろを振り返ることなく、後退しない、というのが俺の信条さ」

 

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「何とも頼もしい!、エイニオンこそウェールズ王室の魂、そのものだ。それに引きかえ、マレドお前は、ふ抜けた隠者のようだな。とほほほほ」

 

 

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「父上、その話は、もう何度も何度も聞きましたよ。もう勘弁してくださいよ・・・」

 

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「ああ、不甲斐ない息子を持って、私は不幸だ」

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「親父、それはそうと、次のモーガンウィグ国への攻撃はいかがしましょう。やつら、思ったより手ごわく、なかなか降参しそうないですよ」

 

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「ううむ、そうだな」
モーガンウィグ国のモーガン王を倒すには一筋縄ではいかんな。この前の戦いは、我が軍の兵力が十分でなく攻めきれなかった。次はもっと軍勢を国から集めよう」

 

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「分かりました」

 

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「おい、マレド。お前も軍に加われ。一人でも兵力を増やしたいくらいだからな。お前でも、何か役に立つかもしれぬ。ちょっと剣でも持ってみろ」

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「っひょえええええっ、剣・・・よ、よしてください、こっこんな怖いもの、僕はもてましぇん・・・ブルブルブル。僕を戦場に連れて行くのはやめてくだしゃい・・・」

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「な、なんて臆病な奴なんだ。信じられんな」

 

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「こんな奴、戦場に連れて行ったら返って足手まといだ。親父、マレドは置いていくよ。僕一人で十分だ、ウェールズのオウァイン王の力を見せつけてやりますよ」

 

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「うぬぬ、はぁ~っ。やむを得んな。マレドの奴、この先が思いやられるよ」

 

 

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何で、みんな戦いが好きなんだろう。戦ってばかりいて、何が楽しいんだろう。人のものを奪い、人からものを奪われるだけじゃないか。僕はそんなことをしたくない。おおおお、怖い怖い。戦場なんてまっぴらだよ。

 

 

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「お前は母親譲りの、パープの腕だけは確かだな。何とも癒される。しかし、戦場では全くの無用の長物だ。男でなく、女子に産まれてきたほうがよかったんじゃないか?」

 

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一方、ウェールズ北部のグウィネズ

 

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「イアゴの兄貴ぃ~。ご機嫌いかがぁ? 今日は天気が良くって、兄貴もりりしく見えますねぇ~」 

 

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「何だ、イエウヴ。毎度、気持ち悪い口調だが、そんなお世辞を言うとは、何かねだりに来たな」

 

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「兄貴も、鋭いなぁー。分かっちゃいますぅ。実はねぇ、遊び金がなくなったんですよぉ。金くれよ兄貴ぃ。領土でもいいよ、おくれよぉ」

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「またか、お前は。いつも金ばかりせびりやがって。この前で最後だって、約束しただろう?」

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「ふふふふぅ~。ただでお金くれ、なんて言いませんよぉ。オイラはね、いい情報を手にしたんですよぉ」

 

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「何、どんな情報だ?」

 

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「ふふふふ。オイラたちが、昔コテンパにやっつけてやった、オウァインの奴のことですよぉ。いつまた、奴らが反撃してくるか分からない、って兄貴言ってたよねぇ。それでオイラ、奴らの動きをずっと、見張ってたんですよぉ」

 

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「何かわかったのか? 奴らまた俺たちを攻めに来るのか?」

 

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「兄貴はせっかちだなぁ。もっと気長にした方が長生きするよぉ。そんな心配はすることじゃぁないよ。奴らは、オイラたちのグウィネズじゃやなくてね、南のモーガンウィグ国を攻めようとしてるみたい」

 

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「奴らはモーガンウィグを占領して力を蓄え、ワシらを攻撃しようというのか? それともモルガンウィグを攻めようと見せかけ、こちらに攻めてくるのか?どっちなんだよ、おい」

 

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「せっかちだなあ兄貴ぃ。さっきも言ったように、もっと落ち着いてよぉ。モーガンウィグは兵力が強く、そう簡単にはやられるような国じゃないよ。どっちも、もっと戦ってくれればいいじゃんかよ。兵力どんどん使ってさ。戦いが長引けば長引くほど、兵力は少なくなってくるじゃん。そうなったら、へへへへ、オイラたちの出番だよぉ」

 

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「なるほど。、イエウヴ珍しくお前も考えたな。お前のいがぐり頭も伊達じゃなかったな」

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「へへへへ、そんじゃ、兄貴ぃ、お金をおくれよぉ」

 

 

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水は清く、緑深く、いのちにあふれる我がウェールズ
小鳥は歌い、動物は踊り、人は楽器を奏でる
生き物はみな、手を取り合い、心を通じ合い
暖かな食事を感謝と共にいただく
今日のことを話し、明日の希望を語り合い
暖かい場所でぐっすりと夢の中で微笑みあう
ゆたかな国ウェールズ、よろこびの国ウェールズ
僕らはみんな、ひとりはみんな
すべての生き物たちが、助けあって喜びあって、感謝しあって
生きていこう

 

観客1:「うううう、いい曲だ。さすがマリドの演奏、いつ聞いてもじーんと心にくるなあ。まるで戦いがなくなって、平和な世の中になった気がするよ」
観客2:「まっ、今の現実では、そんなことはないだろうなあ。せめて音楽でも、か」

 

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「皆が安心して暮らせる平和な国に、ぼくはしたいよ。怖いけど」

 

その怖さがひたひたと、マレドの身に迫りつつあるのであった。

 

 

 

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