こんばんは。ウェールズ歴史研究家、たなかあきらです。
ウェールズの創作歴史ストーリー、「新たたかうカムリ戦士」。
前回の第9話では、デハイバース国のエイニオンは隣国に攻め入りますが、隣国の王モーガンの策略にハマり、エイニオンは敗れてしまいました。
エイニオンは奪われた領土を取り戻そうと、企みを始めます。エイニオンの弟最弱戦士のマレドもその企みに巻き込まれ・・・というわけで第10話をお楽しみください。
※前回の第9話
封印された魅力
ウェールズ西部、デハイバース国の居城
親父、やられてしまった。モーガンの奴に図られてしまったよ。イングランドと手を組んでいて、ゴーワーを取られてしまった。悔しい!
イングランドをバックにつけるとは、モーガン王もやりおったな。それで、エイニオン。お前はどうするんだ?
どうするんだって、決まってますよ。せっかく長年苦労して手に入れたゴーワー。簡単に手放したくはないですよ。取られたら取り返す、それがルールでしよ。
しかし、エイニオン。イングランドがバックにいるとは厄介だぞ。兵力で勝てないんじゃないかな。
親父、グウィネズ国との同盟を利用するんですよ。イアゴ殿に協力を要請すれば、手を貸してくれるんじゃないか、と思うんですよ。
なるほど、その手があったか。よし、そうしよう。
ところで、マレド。お前、戦いになっても逃げてばかりで、史上最弱戦士の役立たずだから、こんな時くらい役に立たってくれよ。
そうだな。マレド、お前イアゴ殿の所に行って、協力要請をして来てくれ。
え、え、えっ、ぼ、ぼくがですか?
必ず話を纏めて来いよ。我らデハイバース国の将来がかかっているんだ。頼んだぞ。
え、えっ、ちょっと待って〜嗚呼〜
ど、どうしよう。また戦いなんてなんて、まっぴらだよ。それに、嫌な予感がするんだよなあ。何とか阻止できないかなあ。
おぉ、君は確かオウァイン殿の所にいた、え〜っと、、、
オウァインの息子、マレドと言います。
ああ、そう、そう、思い出した。すまん、影が薄くてあまり覚えていなかった。確か、ハープの演奏が上手かったな。
今回は、父オウァインからのお願いがあって、参ったのですが、、、
ほう、オウァイン殿からのお願い事とは珍しい。同盟を結んだ仲だ。何なりと言ってください、ご協力できる事はさせて頂きましょう。
ありがとうございます。実は、父オウァインと兄エイニオンは挙兵を考えてまして、、、
なるほど、なるほど、そう言う事情なんですね。理解しました。
バタバタ!ドドドドっ!
何だ、イエウヴ、騒々しい。
やりましょうよぉ、兄貴ぃ! 戦い、侵略、略奪!オウァイン殿も助かるしぃ、略奪すれば、儲かるしぃ、やりましょうよ、やりましょうよ!!!!!!!
うむうむ。ただ、戦争するのは、どうだろうか?しかし、オウァイン殿の要請はお断りできぬなあ。うむうむ、マレド殿、しばらく考えさせてはくれぬか。
ええ、分かりました。わたくしも、戦争するのはどうかと思っているんです。何か、良い方法がないか、私も考えたいです。
分かりました、マレド殿。2、3日、お待ち下さい。
キィィィ〜。何が戦争を避けたいだ。あやつは悪病神だ。奴が現れ、ハープを聴いてから、セッカチだったアニキが、大人しくなっちゃった。変わりに、オレがイライラするようになっちゃった。
何としても戦争して、略奪して戦利品を得ないと、オレはやってられないんだよぅ。マレドの奴さえ居なければ、マレドの奴さえ居なければ。この際、実力行使だ。
ーーーーーーーーー
どうやったら、戦争を食い止める事が出来るだろうか。やはり、このハープを弾いて国を巡り歩いて、皆の心を鎮めるのが良いのだろうか。
あっ、誰?
ドサッ、バキバキっ
あっ、何をする、僕の大事なハープがバラバラに、、、
きゃー、やめて下さい、やめて下さい。人さらい、やめて〜
ふふふ
ーーーーーーーーー
兄貴ぃ、オウァイン殿に協力して戦争しましょうよ。それが、ウィンウィンじゃあないですかぁ。もし、兄貴の気がすすまないのなら、オレが行きますよぅ。
そうだなあ。今の状況を考えると、オウァイン殿に課税するのが得策だろう。よし、イエウヴ、お前が軍を率いて、オウァイン殿に
おお、兄きぃ! 行きますとも、行きますとも、やったぁ。略奪だぁ、略奪だぁ。取ったものは、オレがもらっていいんすよねぇ、兄きぃ。
もちろんだ。お前の好きにしてよいぞ。オウァイン殿にもそう言っておこう。ところで、使者に来たオウァイン殿の息子、マレド殿はどこに行った? あれから姿を見せぬが。オレ達が協力することを伝えようと思うのだが。
そう言えば、急用ができたので国に帰るって言ってましたよぅ。兄きに伝えておいてってね。(ヒヒヒヒっ)
そうか、それならば、オウァイン殿に使者を送っておこう。イエウヴが援軍を率いて合流しますと。
今からすぐに出発だぁ。うひょひょひょ、腕が久しぶりになるんだなぁ。戦いだぁ、略奪だぁ、お宝だぁ、うひょひょひょ。
ウェールズ西部、デハイバース国の居城
ところで、マレドから何か連絡はあったか? 援軍の話はうまく進んでいるだろうか?
いや、ありませんけど。どうせ、怖くなってどこかに逃げ出してるんじゃないですか?第一、マレドを使者に行かせるのも、どうかと思うんですよ。
<オウァイン様、オウァイン様。イアゴ様からの使者として参りました>
イアゴ殿の使者?
<はい、オウァイン様の援軍として、イエウヴ様が軍を引き連れ、こちらに向かいます>
おお、そうか、ありがたい! よかった交渉は成立したようだな。マレドの奴もなかなかやるもんだな。
こりゃおどろいた。最弱戦士のマレドの腑抜けが、話を纏めてくるとは。しかし、マレドはどこに行ったのだろう?
ーーーーーーーーー
うううう、暗いよ、怖いよう、寂しいよ~うううううっ。パープは壊されちゃうし、こんな牢屋に放り込まれちゃうし、僕は何をやったって言うんだよ。
誰のしわざだよ~ うううう、暗いよ、怖いよう、寂しいよ~うううううっ
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よし、これからは、また素晴らしい戦争の世界が始まるんだなぁ
略奪がたくさんできるなぁ、うれしいなぁ♡
マレドの奴は、絶対に出してはならないんだんぁ。あいつにハープを弾かせたら、またみな気が変わって争いをやめちゃうんだぁ。ふふふ、帰ったらぁ、始末してやろうっと。
次回に続く
次回に続く
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最後まで読んでくださり有難うございました。
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