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こんばんは。ウェールズ歴史研究家、たなかあきらです。
ウェールズの創作歴史ストーリー、新たたかうカムリ戦士は毎週月曜日に公開しております。先週の内容は、イアゴとオウァインはいがみ合っていましたが、オウァインの息子、最弱戦士のマレドが奏でる不思議なハープを聴いて急に態度変わり、協力し合うようになりました。協力には皆が賛成では無かったようです。というわけで第6話をお楽しみください。
団結と不満
そう、当時のウェールズは国の周りをぐるりと強国に取り囲まれて常に脅かされていたのだ。イングランドにヴァイキング、この外敵の侵略に苦しめられていた。
特に、ヴァイキングは、グレートブリテンに侵略を続け、イングランドの約3分の1を占領しデーンローという国を作っていたのだった。ヴァイキングたちは、デーンローを起点に、今度はウェールスにも勢力範囲を伸ばそうと侵略を続けていた。
さらに、アイルランドを拠点にしていたヴァイキングもいて、ウェールズ乗っ取りを企んでいた。当時のウェールズは2方向からのヴァイキングからの攻撃に四苦八苦していたのであった。
ウェールズ西部、デハイバース国。
「は、はい、それが・・・ヴァイキングの大軍がウェールズに攻めてきたようでして・・・グウィネズとデハイバースで略奪を始めたそうです」
「あ、あのう、戦いをやめて協力し合うとか・・・つ、つまり・・・協力し合ってヴァイキングを追い出すとか・・・」
「な、なんですと? このイアゴ様がオウァインの奴と協力? 俺たちをなめてんじゃねーぞぉ~っ。あり得るのはテメエらをぶっ潰すことだ」
「ほお、なかなか心にしみ渡るハープの演奏じゃないか・・・」
「このイドワル様がオウァインの奴と協力だと? それも有りかもしれぬ。今はウェールズ内で争うより、うっとうしい強敵のヴァイキングを追い払うために、一時休戦して、協力し合ったほうがいいな。どうだね、オウァイン殿」
「俺も同感だよ、イドワル殿。ぜひ協力し合って、ヴァイキングと戦おう!」
「ふうぅ。何とか助かった。イアゴとイエウヴはまるでヤクザのようだ。マレドの演奏するハープ、やはりハープが急に奴らの気を変えたんだろうか?」
「・・・」
水は清く、緑深く、いのちにあふれる我がウェールズ
小鳥は歌い、動物は踊り、人は楽器を奏でる
生き物はみな、手を取り合い、心を通じ合い
暖かな食事を感謝と共にいただく
今日のことを話し、明日の希望を語り合い
暖かい場所でぐっすりと夢の中で微笑みあう
ゆたかな国ウェールズ、よろこびの国ウェールズ
僕らはみんな、ひとりはみんな
すべての生き物たちが、助けあって喜びあって、感謝しあって
生きていこう
「いい歌だなア~」
「偉大なハウェル・グッド王が亡くなってから、両国は争いをつづけてきた。イアゴ殿、過去に略奪を繰り返された傷は深いが、過去は過去。水に流して、両国の将来を考えませんか」
※前作「戦うカムリ戦士」を参照(記事最後にリンク)
「うむ、そうだな、オウァイン殿。我らも、我が父イドワルがお主の父ハウェル王から受けた屈辱は永遠に残るだろう。しかし、それは過去の遺産だ」
「いい歌だけど、両国、仲直りしちゃうわけ? オレが脅しに来たのにぃ」
「オウァイン殿、こうしてはどうだろう。両国同盟、となると縛りが強くて、返ってうまく行かないかも知れぬ。お互い不可侵、って事でどうだろう」
「イアゴ殿、そうしよう。それが良さそうだ。更に、ヴァイキングから攻撃を受けた時、要請があれば援軍を出し合うっていうのも、追加してはどうだろう?」
「ひぇっ、兄きぃ、本当かよぉ。オウァインの奴と手を結んじゃうんかよぉ。それじゃあ、オレが略奪して戦利品を得る場所がなくなっちゃうよぉ。どうするんだよぅ」
「うるさい、イエウヴ、黙ってろ!」
「あぁ、兄貴が変わってしまったよぉ」
「あ、あのう・・お取り込みの最中失礼します・・・お食事の準備が整いましたので・・・どうぞ、こちらへ、、」
「両国の繁栄を願って乾杯!」
「乾杯!」
「きぃ〜っ!」
「ああ、何とも心にしみる演奏だなぁ〜さっきまで、怒っていた気がするけどさぁ、どうでも良くなってきたよなぁ」
ふぅ〜っ
「待てよ、この演奏聴くとさあ、さっきも落ち着いちゃったなぁ。兄貴もさぁ、気が変わってオウァインと手を組んじゃったんだぁ。演奏を聴くのがダメな気がするなぁ〜でもいい演奏だなぁ」
ふぅ〜っ
「この演奏は聴いちゃだめだよなぁ」
どうする、イエウヴ。次回へ続く。
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※前作たたかうカムリ戦士ストーリー一覧
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最後まで読んでくださり有難うございました。
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