こんばんは。ウェールズ歴史研究家、たなかあきらです。ウェールズの創作歴史ストーリー、新たたかうカムリ戦士は毎週月曜日に公開しております。
先週の第7話では、グウィネズ国のイアゴとデハイバース国のオウァインは協力し合い、ヴァイキングを追い払いましたが、不満を持つ人物が2人いたという内容でした。
一方、以前にオウァインの息子エイニオンが、南部のモーガン王を捕らえ監禁してましたが、モーガン王は・・・・というわけで第8話をお楽しみください。
※前回の第7話
巨大な影の力が発動か
第四話の内容と繋がっています
愛国心という名の陰謀 ~新たたかうカムリ戦士 第4話
モーガンウィグ国、ゴーワー城
「わしらの弱みにつけ込み、罠にはめよったな、エイニオン!」
「罠にはめるとは人聞きの悪い。ウェールズの平和には、統一が必要なんですよ。それに抵抗するモーガン殿を、我々はお願いしているのです。さっ、降伏して我が傘下に入りなさい」
「ウェールズ平和の為だなんて、真っ平な嘘八百だ。わしゃ、降伏などせぬぞ」
「おい、者ども、モーガン王達を地下牢に打ち込んで、監視しろ」
「くそっ、覚えておれ! お前こそ、きっと後悔することになるぞ」
967年、エイニオンはモーガン王が治めるモーガンウィグの一部、ゴーワーを攻め領土を奪い、モーガン王を捕らえたのでした。モーガン王はゴーワー城の中にある地下牢に投獄されていました。
<はぁ、はぁ、はぁ>
「だれじゃ」
<僕ですよ、僕>
「おおお、ジュニアか。ワシを助けに来てくれたか」
「ええ父上。城の地下の抜け道を使って、もぐりこんできました」
「手足は、鎖と重りにつながれ、鉄格子のなかに放り込まれ、身動きがとれんのじゃ」
「道具を持ってきたので、何とか切断しましょう」
おーい、誰かいるのか?
「し~っ、誰か来るぞ!」
「見つかってしまう前に話しておこう。お前に頼みごとがあるんじゃ」
「はい、父上。僕にできることならなんでも」
「このまま、領土をエイニオンに奪われたままでは、ワシはとても無念じゃ。何とか奴らから取り戻したいんじゃ」
「そうですよね。私が兵を挙げて、エイニオンを攻撃しましょうか?」
「おお、やってくれるかジュニア」
「いいえ、父上。今は、なかなか難しい状況です。実はエイニオンと奴の父オウァインは事もあろうに、北部グウィネズのイアゴと手を結んだのです。僕がエイニオンを攻めたら、イアゴはエイニオンを助けるでしょう。そうなっては、勝つことは困難・・・」
「うむむ。そうじゃな。そうじゃな。それじゃ、やはり別の手じゃ」
「父上、妙案があるのですか?」
「イングランドですか?」
おーい、やっぱり、誰かいるのか? モーガンの奴、なにか企んでないか?ちょっと見に行ってみよう
「いかん、看守に気づかれてしまったかも知れぬ.。ジュニア行け、エドガー王の元へ。今のワシらの無念の状況をお伝えするのじゃ。エドガー王なら、きっとワシらに援軍を出してくれるじゃろう」
「父上・・・」
「行くんじゃ、ジュニア。ワシの事は良い、それより国を取り戻してくれ」
「行くんじゃ!」
おーいモーガン!
「こんにちは神様、きょうは天気が実によいですね。こんな日はピクニックに行って太陽の光を一杯に浴びて、神様のおそばに行きたいですね」
なんだ、ボケ老人の独り言か。半分棺桶に足を突っ込んだか・・・来て損した。ああ、もどって昼寝しよ
「イングランドの上様のところに行って、無念を晴らしたいですね」
モーガン王の息子、モーガン・ジュニアはモーガン王が囚われているゴーワー城を抜け出し、イングランドへ向かったのであった。
「なるほど、ジュニア殿、そういう事情だったのか。モーガン王には大変気の毒な状況だし、無念の気持ちはよく分かりますよ」
「ジュニア殿、まず私を頼って相談に来てくれたことには感謝を申し上げます」
「いえ、父の助言で、エドガー閣下にお会いしたに過ぎません」
「ますます、私が何もしないでジュニア殿にお帰りいただいたのでは、大変申し訳ない。もちろん、喜んでジュニア殿のお力になりますぞ。必要なだけ、援軍をお送りしますよ」
「え、本当ですか? エドガー閣下、ありがとうございます!私はまず父モーガンを救助したいのです。ですので、まずはゴーワーを取り囲んで城を奪い返し、そして・・・」
「うむ、うむ」
・・・うむ、うむ、そろそろ時期かもしれないな。ウェールズ内の国どうし、もっと戦って自滅してくれるのを待って、攻め込もうと思っていたけれど、南部のモーガンウィグ国が自らワシに飛び込んできてくれた。ラッキーなことだ。
それに、ふふふふ、堂々とウェールズ内にイングランド軍を送り込む口実が出来た。まずは、ジュニア殿に協力してモーガン王を取り込み、イングランドの傘下に入れてしまうところから始めようか・・・ふふふ
「よし、ジュニア殿。戦いの準備を始めますぞ」
「エドガー閣下、有難うございます。父もきっと喜びます」
ついに、イングランドが動くのか。次回に続く。
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最後まで読んでくださり有難うございました。
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