前回は中世のウェールズ歴史の超概要だったわね。
今回はどんな内容?
今回は、実際に活躍したウェールズ王を取り上げて、もう少し具体的にウェールズ歴史の概要をお話しするよ!
前回の記事:中世ウェールズの歴史をシンプルに語ります!
中世のウェールズ歴史の超概要
1世紀〜13世紀頃までの歴史を時代に分けて簡潔にまとめました!
各時代の呼び方は筆者が独自に考案しまし年表も作りました!
※紀元前数世紀頃からブリトン人と呼ばれるケルト系民族がグレートブリテン島に住むようになり、北部(現在のスコットランド北部)を除いてブリタニアと呼ばれていました
①ローマ時代(1世紀~4世紀前半:ローマ帝国支配
この時代、ウェールズはローマ帝国の一部だったってこと?
ウェールズの祖先、ケルト人の国ブリタニアは、紀元1世紀から4世紀前半までローマ帝国に侵略されて、ローマの属国となったんだよ
ローマ皇帝グラディウスの攻撃で、ウェールズの首長カラタクスはローマに降伏。
ローマ帝国はブリタニア司令官やローマ兵を派遣し、ブリトン人を使って北からのピクト族や、西からのスコット族やヴァイキングなどの侵略を防いでいました。
ちなみに、スコットランドにはハドリアヌスの城壁っていう、ローマ時代の遺産が今も残っています。
②ブリタニア時代(4世紀前半~7世紀後半):ブリタニアの自治
西ローマ皇帝ホノリウスの時、ローマ帝国軍が410年にブリタニアから撤退したんだ。その後、自治が復活したんだ!
自治権がもどって何か変化があったの?
主に2点あるね。キネダ大王によるウェールズの原形となる国の建国と、アングロ・サクソン族による侵略だよ。
現在のウェールズの原形となるグウィネズ国がキネダ大王によって建国されました。マエルグウィンやカドワロンなどの子孫も力を伸ばして行きました。
他方、ローマの後ろ盾がなくなると、アングロ・サクソン族(ジュート人、アングロ人、サクソン人)が侵略して勢力を広げはじめるのでした。
アーサー王はこの時代の伝説に登場するんだ。ベイドン山の戦いなどでアングロ・サクソンの侵攻を食い止めた英雄とされているんだよ。
伝説の中の武勇には、その時代の人々の希望とかが反映されてるのかもしれないわね。
③戦乱時代(7世紀後半~9世紀前半):アングロ・サクソンの侵略
地図はグレートブリテン島でアングロ・サクソン族が支配力を広げる様子だよ
緑色の部分がアングロ・サクソン族の範囲ってこと?最大勢力ね。
その通り。700年頃には今のイングランド、ウェールズ、スコットランドの大まかな国境が形成されたんだ。
アングロ・サクソン族の勢力範囲は9世紀ごろイングランドになります
ウェールズはアングロ・サクソンの侵略から守る戦争を強いられ、また後継争いの内乱や病気も流行りました。その影響で国も荒廃していきました。
戦乱や病気などの出来事が国の運命に影響を及ぼすんだね。その中でウェールズはどう変化していくのか興味が湧いてきたわ。
そのあたり調べてみると面白いかもしれないね。つぎに続くよ
④統一時代(9世紀前半~10世紀中盤):ウェールズの統一
天下統一って聞くとワクワクするけど、ウェールズにもそんな事はあったの?
よ。ロドリ大王とハウェル良王っていう強力な統治者が出現し、それまで小国だったウェールズが、初めてまとまった時代があったんだよ。
ウェールズはその時代に大きな変革を遂げたのね。
彼らはウェールズの小国を統合し、外敵からの攻撃を防ぎながら国をまとめ上げたんだよ。特にハウェル良王はウェールズ法を制定したことで知られてるんだ。
ウェールズ法は犯罪から財産、相続、女性の権利に至るまで、広範な領域を規定していました。当時では最も近代的で進んだ法律といえるかもしれません。
ハウェル良王の時代はウェールズの国家としての土台が築かれたと言えます。
ハウェル良王のウェールズ法はその後イングランドの法律にも大きな影響を与え、イギリス法律の基礎になったそうです。
⑤南北朝時代(10世紀中盤~11世紀後半):2大王室が形成
南北朝時代ってのは面白そうね。王室がどうにかなったの?
ウェールズ王室が幾つも創立されました。
主に以下です。
アベルファラウ家:北部のグウィネズ(Gwynedd)
ディネヴァウル家:西南のデハイバース(Deheubarth)
※ウェールズの主導権はアベルファラウ家とディネヴァウル家の間で頻繁に移り変わりました。
11世紀後半になると、アベルファラウ家のグリフィズ王がようやくウェールズをまとめます。
しかし、イングランドで大事件が起きるのです!
世紀の大事件?
1066年にフランスから襲来したノルマン人によってイングランドは征服され、ノルマン・イングランド朝が始まったんだよ(ノルマン征服)
今度はウェールズもノルマン人に侵略されていくのかしら?
⑥プリンス・オブ・ウェールズ時代(11世紀後半~13世紀後半):ノルマン・イングランドの侵略
ノルマン・イングランドの攻撃にウェールズはどう対抗したのかしら?
ウェールズではオウァイン大王やラウェリン大王といった指導力のある統治者たちが現れれたんだ。
彼らはプリンス・オブ・ウェールズのタイトルを宣言して、ウェールズの一体化を進めつつ、ノルマン・イングランドに対抗していきました。
※プリンス・オブ・ウェールズのタイトルは継続し、現在ではイングランドの皇太子が継承しています
カリスマ的な王が出現すると勢いを盛り返すけど、ノルマン・イングランドの侵略は執拗でウェールズは徐々に力を失っていくんだ、、、
⑦ノルマン征服時代(13世紀後半~):独立奪回への反乱
1282年、ついに最後のプリンス・オブ・ウェールズであるラウェリン・ザ・ラスト王がノルマン・イングランドに敗れ、ウェールズは征服されてしまったんだ。
ウェールズの自治が失われてしまったということ?
その通り。その後もウェールズでは独立を目指して何度も反乱が起こったよ。
14世紀初にオウァイン・グリンドゥールっていう英雄が現れて、自称プリンス・オブ・ウェールズとして大規模な反旗を上げたんだ。
ウェールズは独立奪回できたの?
グリンドゥールは領土を奪取していったけど、最終的には鎮圧され反乱は消滅したんだ。オウァインが最後のウェールズ王と言われているよ。
⑧番外編:テューダー朝に繋がるウェールズ王室
ウェールズの歴史にはテューダー家というチャプターもあるんだよ。
テューダーって、何か特別なことがあったの?
1485年、ウェールズ王族の血筋テューダー家のヘンリー・テューダーがリチャード3世を倒してイングランド王になったんだよ。彼がヘンリー7世なんだよ。
それってウェールズの王族がイングランド王になったってこと?すごい!
その後のウェールズは、1536年にヘンリー7世の息子、ヘンリー8世の時に合同法が施行されて、ウェールズはイングランドに統合されました。
※ヘンリー8世の娘が女帝エリザベス1世
ウェールズの国家としての立ち位置はうすれましたが、テューダー家の影響はイングランドに王室にひきつがれました。
最後に:2人の感想
ウェールズの歴史は面白いわね!特にプリンス・オブ・ウェールズ時代、ノルマン征服時代の話は興味深かったわ。
そうだよね。ウェールズの歴史は外敵との戦いや内乱、強い指導者の登場などが織り交ざっていて複雑だけど面白い!
ウェールズ法っていうのも面白いわね。犯罪から相続、女性の権利まで広範な分野を規定していたんだから、ウェールズの人々はかなり進んだ考え方だったのね。
テューダー朝についての話も興味深い。ウェールズの血を引く人がイングランド王になったんだから、歴史の流れには独特の魅力があるね。
ウェールズの歴史は戦いや変革が絶えず、その中でどうしていくか、どうやって影響を受けていくか、その流れが見ていて惹きつけられるわよね。
ウェールズの歴史は奥深いから、詳しく知れば知るほど面白さが増すよね!
最後まで読んでくださりありがとうございました!
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