こんばんは。ウェールズの歴史を研究しているたなかあきらです。
中世は色んな国々で戦乱が起こっていたと思います。イギリスのウェールズも同じでした。常に戦乱が起きていた中世のウェールズの中で、今回は9世紀に兄弟の仲たがいが原因で戦乱へと発展した話をご紹介します。はやり兄弟は力を合わせて行ったほうがいいですよね。
そもそもは、僕のコメントをもとに三国志についての記事をかかれた記事をよんで、そういえばウェールズも3国に分かれていた時期があったなあと思い、中国との三国志とは大きく異なりますが、ウェールズの3国についても書いてみようと思いました。
ウェールズの三国について
中世ウェールズは、主にグウィネズ(Gwynedd)、デハイバース(Deheubarth)、ポゥイス(Powys)の三国に分かれていました。(本当は三国に南部の小国が加わっています。)
これら三国のうちグウィネズと、デハイバースは比較的仲が良く、お互い協力しあっていましたが、ポウィスは仲が悪く侵略し合うこともありました。
9世紀頃には、ウェールズはアングロサクソン族の国ウェセックスやマーシア、ヴァイキングの国デーンローから攻められて苦しい状況にありました。
9世紀にロドリ・ザ・グレート王が争うことなく3国を争うことなく統一し、初めてほぼウェールズ全体が一つの国に纏まりました。
ウェールズ全体が団結して国力を高め、幾度となく攻めてくる敵に一団となって立ち向かい、ウェールズを守っていかなければならない、ロドリ・グレート王は常々そう思い国づくりをしていました。
結束を図ったウェールズの雄
ロドリ・ザ・グレート
ロドリにはアナラウド、カデル、メルヴァンの3人の息子がいました。ロドリは年老いた自分一人でウェールズを担っていくのは限界があるので、将来のウェールズを考えて自分が元気なうちに三人に国を継がせ、お互い協力して国を強化しようと考えました。
長男のアナラウドにはウェールズの中心的な存在であるグウィネズ(Gwynedd)、次男のカデルには西のデハイバース(Deheubarth)、三男のメルヴァンには中央のポウィス(Powys)を分け与え、アナラウドを中心にウェールズの結束を固めさせました。
そんな時、隣国の強国マーシアがロドリに大敗した屈辱を晴らそうとウェールズを攻撃してきました。当時の三兄弟は「ブリテン島の三王」と呼ばれるほどの結束力がありマーシアを撃退し、ロドリの思いに三兄弟は応えました。
しかし、ロドリが亡くなってからはウェールズの情勢は大きく変わってしまいました。
ウェールズ内の領土争いで対立する兄弟たち
父ロドリの目の黒いうちは、その威光に押されてか三人はロドリの命令に従っていました。しかし、ロドリが亡くなると3兄弟はバラバラの方向に進んでいきました。、
三兄弟の性格などこんな感じであったと思います。似顔絵ジェネレータを先ほどの妙香さんのブログ記事に載っていたので僕も遊んでみました。
ほんのちょっとパーツを変えるだけで大きく印象が変わるもんだなあと思いました。
・長男のアナラウドは欲が深い野心家で、しかし嫉妬心が深い
・次男のカデルも野心を燃やすが、父譲りの聡明なところがあり人望もある
・三男のメルヴァンはひ弱で曖昧な人物
人一倍に領土拡大の野心を燃やすアナラウドは、カデルの存在がとても邪魔で
当時最大の勢力を持っていた敵国ウェセックスのアルフレッド大王と手を結び、
カデルのデハイバース国を攻撃して侵略・略奪をしました。
これに対してカデルも黙ってはおらず反撃し、元の位置まで戻します。勢いに乗ってカデルはメルヴァンのポウィスを攻め領土を奪ってしまう貪欲さも見られました。
こうしてあっけなく3兄弟の結束は崩れてしまいます。アナラウドとカデルの対立が深まって、ウェールズは再び内乱がはじまり弱体化していきました。
※アルフレッド大王はウェセックスの強力な王で、当時ヴァイキングに攻め立てられ息も絶え絶えだったウェセックスを立て直してヴァイキングを撃退した、イギリスの歴史的な英雄
※イングランド王国前史は表紙のアルフレッド大王をはじめ、アングロサクソンの王国の成り立ちからイングランド建国までとても分かりやすく書かれており、おススメです。
纏めとその後のウェールズ
権力争いのために、内乱を起こしては国が無駄に弱くなっていきます。特にこの時期のウェールズは、近隣諸国に強力な国々が存在していました。その国々との関係・外交に力を入れてウェールズの存在をキープしないといけないのに、内乱に国力を注いでしまったのです。
案の定、ウェールズは弱体化していき、ウェセックスの圧力には勝てず傘下に入ることになります。
その後・・・といえば
アナラウドはその後も領土拡大にこだわり、デハイバース以外の国々も執拗に攻めるようになり、ウェセックスからも危険人物視されていきます。
そこで、アナラウドに攻められたカデルは、この時はウェセックスの力をうまく利用し
アルフレッド大王に忠誠を誓って同盟を結びアナラウドを攻めて滅ぼしました。
しかし、世の中には報復という慣習があります。
カデルに滅ぼされたアナラウドは息子イドワルが立ち上がり、カデル側も息子のヒウェルが応戦するといった、内乱の悪循環が始まっていきます。
やられたらやり返す、時と場合によっては必要かもしれませんが、カデルやアナラウドの状況では、ますます国は荒廃し敵国に攻められてしまうので、戦うべきではなかったと思います。
※おススメ記事
最後まで読んでくださり有難うございました。
次回はイドワルとヒウェルの戦いの果てをご紹介します。
コメント